日本エネルギー会議

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廃炉現場トラブルの詳細

 近頃、福島第一原発の廃炉工事でのトラブルは以前に比べれば少なくなっているが、それでも時々ニュースになる。先月末の27日に3号機の使用済み燃料プールの水を冷却するための循環ポンプが午前9時41分から11時34分まで停止した。原因は作業中にスイッチに接触し、ポンプが自動停止したことによる。停止時の水温は18度だったが、ほとんど変化はなかった。
 これがニュースに載った内容だが、ヒューマンエラーでポンプが停止して冷却が一時出来なくなったというトラブルは過去に何回かあったことを思い出し、東京電力福島第一原発の広報の担当者に電話でいくつかの疑問について尋ねた。

Q 以前はこのようなトラブルがよく起きていた。その時に対策を水平展開したはずだが、今回また起きたのは何故か。
A 以前のトラブルの原因は開閉スイッチへの接触だった。可能性のあるスイッチはすべてカバーを付けたり、柵を設け表示もしたが、今回は開閉スイッチではなく、対象としていなかった配管内の状況を確認するためのリミットスイッチに触れてしまった。今後はリミットスイッチも対象にする。

Q 作業員はどのような作業をしていたのか。
A 塗装をしていた。場所は暗くはないが、ケーブルなどがあり、狭い場所で接触しやすかった。
  
Q 作業前の打ち合わせで、ここに重要なスイッチがあるということは伝えなかったのか。
A 伝えていなかった。作業前に東電の担当者から注意を促すべきであった。今後は作業前の打ち合わせで確認する。ポンプをメンテナンスのためあえて停止することもあるので、そのようなときに塗装作業なども併せて行うことも考えたい。

 ニュースを見て疑問に思ったことはほぼ解明されたが、トラブルが起きるとその事象だけにとらわれて、開閉スイッチだけを対策にしていたようだ。プールの水温が上がらないようにするのが本来の目的であり、そのことからすれば開閉スイッチだけに着目するのではなく、電源、ケーブル、スイッチ、表示ランプ、ポンプやモーターそのもの、配管、弁、計器などにも気を配ってヒューマンエラーが入り込まないように対策を取らなくてはならないはず。作業者にしてもベテランから新人までいるから、指示の仕方も変わってくる。対象を限定せずになるべく広く考えておくことは安全上大事なことだ。
 かつて建設現場で労働安全管理を担当した経験では、事故を起こした請負企業や工事の担当課は、原因対策の範囲を出来るだけ限定しようとする傾向が見られた。ラインとしては出来るだけ負担を減らそうとする気持ちは理解出来るが、災害はその後必ず対象範囲を広げたところで再発するものだ。
 思うに福島第一原発の事故も同じパターンだ。大地震の震源域を限定したり、連動による大津波まで考えを広げなかったことによって、的確な事前対策が出来ずに未曾有の大事故になってしまった。

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