日本エネルギー会議

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過疎と電力供給

 3年前、日本創成会議が発表した「2040年に全国で896市町村が消滅?」との試算(いわゆる増田レボート)に対して大きな反響があったが、今なお事態は好転することなく東京一極集中と地域崩壊や自治体の行き詰まりに向かって爆進している。
 都道府県別でみると、秋田県、青森県、島根県、岩手県など東北地方の深刻さが目立つ。このほか和歌山県、徳島県、鹿児島県など、近畿以西にも心配な場所がある。人口が極端に少なくなれば自治体の財政は破綻し、地域で暮らすためのインフラの維持が困難になり、結局人々はその土地を去らなくてはならない。
 今まで電力会社は地域独占と引き換えに、どんな山奥でも孤島でも電柱を立て、ディーゼル発電機を設置して、都市と同じ料金水準で停電なしの電気を供給するユニバーサルサービスをしてきたが、自由化後の電力会社は過疎の地域については送電網の維持がコスト的に見合わなくなる。そうなれば高い電力料金が住民のさらなる流出の後押しをしかねない。
 過疎化した地域は電力を地産地消出来るよう独立させる以外にない。その場合、有力なのが再生可能エネルギーに依存することだ。山奥では小型の水力発電や太陽光発電が有力であり、孤島では太陽光発電や風力発電と蓄電池の組み合わせが主流となる。場所によっては地熱発電の可能性もある。
 この限られた地域の電力事業を行うのは、電力会社か地方自治体かあるいは民間団体ということになる。小型の水力発電は農業用水路でも可能であり、太陽光発電も農地と共存するソーラーシェアリングをすれば、再生可能エネルギーは過疎地で盛んな第一次産業と共存出来る。国や県は自治体の消滅を防ぐためにも、こうした電力供給体制の整備を積極的に財政支援するべきである。
 今のうちに着手することでFITを活用して、その地域の電気代を格安に出来れば人口の大半を占める高齢者にとっても、都市からUターン、Iターンする若い世代にとっても魅力ある地域となる。
 国立社会保障・人口問題研究所は2050年には全国の居住地域の20パーセントが「誰も住まない土地」になると予測している。これらの土地は、タイミング的には東京電力福島第一原発事故の除染作業で出た汚染土など2200万立法メートルを福島県の中間貯蔵施設で保管した後に送り出す最終処分場の有力候補地となる。
 これらの処分場受け入れのための補償は地域の財政を半永久的に潤し続け、自治体を消滅させない働きをしてくれる。これがうまく行けば、そこから高レベル放射性廃棄物の処分場問題の道筋が開けるかもしれない。

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