日本エネルギー会議

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大企業と不祥事(6)

 若い世代の実力低下は生産スピード、品質、トラブル対応力などに直ちに影響してくる。先輩社員と現場の管理職は若手の作業者が十分な力を持っていないことにすぐに気づくが、そのまま報告すれば「自分たちの指導力」を問われる。
 時代はいろいろな要求をしてくるが、時間外労働の規制も以前より格段に厳しくなっている。大企業の場合、法律違反、抵触をすればすぐに世の中の批判が飛んでくる。
 そこで先輩社員と現場の管理職は自分たちでカバーしようとするが、それには自ずと限界がある。団塊の世代が退職したことで現場に経験豊富な指導者が不足しており、いままでの人数で製品の品質を一定の水準に保つということが難しくなっている。売上の達成、利益の確保、品質の維持など、以前とは条件が変わっているのにもかかわらず、本社からはあらゆることで常に右肩あがりの要求がくる。今までとちがって地球の果てから競争相手がやってくる。
 現場では力不足を日々感じているが、本社管理部門、トップは自分たちの若い頃の記憶から、また、自分の周囲のエリートを見て、まだまだ大丈夫と思っている。取引先も大企業、名門企業だからとブランド力を信じておりギャップはどんどん開いていく。
 窮地に立った現場の管理職は苦肉の策を取るようになる。まず、法律で決められた以上の品質を削り落とす。いままでは他社との競争のために必要以上の品質を作りこんでいたが、もうその余裕はない。さらに、現行では十分すぎる安全裕度が決められているものに手をつける。
 さすがに危険なものを顧客に渡せないから、実際に使用しても問題は起きないところの手を抜いたり、データを誤魔化したりした。車の完成時の検査は業界内では形式的なもので、資格がない者が行っても結果はそれほど変わらないと認識されてきた。今、不祥事として騒がれている多くはこの手のものである。
 若い世代の実力低下傾向はこれからも続くと考えられる。理由は若い世代が引き続き減少することを今更変えようもないからだ。安倍政権の打ち出した1億総活躍がたとえ実現しても戦時中の総動員令のようなもので、その先は続かない。
 外国人の社員採用を本格的にするくらいなら工場を海外に移転したほうが合理的だ。大企業における不祥事多発は人材や組織など構造的な問題を背景に起きている。そのことを理解し克服出来なければ、いかに大企業といえども消えていくしかない。大企業の連続不祥事は生産のために必要な人材を再生産出来なくなった日本が沈没することへの警鐘と捉えるべきだ。

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