日本エネルギー会議

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エネルギー基本計画と国民の不信

 長期的なエネルギー政策の柱となる「エネルギー基本計画」について有識者による見直し作業が進んでいる。基本計画は3年ごとに見直されることになっているが、この3年間には電力自由化の進展、温暖化対策についての国際合意、原発再稼働の遅延、もんじゅの廃炉決定、再生可能エネルギー拡大における太陽光発電偏重などかつてない大きな環境変化があったと思うのだが、世耕経産相は「今の基本計画ができてから3年しかたっていないため骨格を変える段階ではない」と発言している。このこと自体、多くの国民の意識からずれているように感じる。
 民間企業では、経営計画をはじめとして各種計画はPDCA(Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善))のサイクルを回していくのが常識だが、エネルギー基本計画ではこのことが守られているようには見えない。2015年に決めた基本計画は2030年を達成目標年としているが、現在までに次のような大幅な見込み違いが生じている。

・原発は依存度を「可能な限り低減」させるまでもなく、再稼働が進まないため2030年の目標である原発比率20~22%達成に赤信号が灯っている。
・大型原発も経済的理由から廃炉を決定するなど、運転期間の延長が出来たとしても新増設に踏み込まなければ到底目標には達することは出来ない見通しとなっている。もんじゅは廃炉が決定し、使用済み燃料処理工場は完成が見えない。
・各電源の発電コストは太陽光発電や風力発電のコストが国際的に見ても予想以上に下がっているのに対し、原発の発電コストは上昇気味で電力会社からも国の支えがなくては建設に踏み切れないとの声が出ている。
・再生可能エネルギーは太陽光発電が接続制限を必要とするほど急激に拡大し賦課金負担が増大。風力や地熱などは伸び悩んでいる。また、バイオマスは伸びているが燃料の大半が輸入という問題を抱えている。全体として2030年目標は余裕で達成できそうだが、送電線の建設とその費用負担、バックアップする火力発電所の低稼働問題が出ている。
・石炭火力発電の新増設計画が目白押しで、それを認めれば温暖化防止対策上は容認出来ない規模になってしまう。等々

 何故、当初計画が外れてしまったか、どこに読み違いがあったのかを解明する必要があり、その反省を次の計画づくりに生かすなど計画策定の連続性が担保されるべきである。これまでは国の原発政策にせよ温暖化防止対策にせよ、見通しの甘さが目立つ。甘くなったのは原子力産業界の意向を受けて事務局の経産省がリードして最初から「原発ありき」だったからではないかと国民は疑っている。このことが結局、国のエネルギー政策や原発政策に対する国民の信頼をいまだに得られないことにつながっているのではないか。

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