日本エネルギー会議

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捨ててはいられない

 国会中継を見ていたら世耕経済産業大臣が省エネに関する質疑で「LEDの普及はまだ3割。これを10割にしたい」と述べていた。東京都が行う白熱電球とLEDとの無料交換、電力会社やメーカーが協力して実証実験をしている古い型の冷蔵庫を省エネタイプの最新型に無料交換し、省エネされた電気代分でこの対価を支払う仕組みなど、家電などを効率のよいものにタダで交換するという新たな省エネの取り組みが注目されている。
 さらに省エネではなく拾エネとも言えるものもある。それは工場などで捨てている熱で発電をしようという試みだ。原理は100年以上前に発見され小規模な発電装置も作られている。これは温度差を利用して発電するもので、具体的には熱電モジュールと称する板を排熱などで高温にすると熱電モジュールから電気が出るというものだ。実験装置は至ってシンプル。アルコールランプで熱電モジュールを熱するとモジュールから出ているケーブルの先の豆電球が灯る。動く部分はまったくない。
 30年ほど前の話だが、たまたま聴きに行った文部省主催の研究発表会で熱電発電を知って社内に戻って報告をしたら、技術系の人たちが興味を持ってくれ原子炉の周りに熱電モジュールをサロンパスのように貼り付けて発電する方式を会社として特許申請したことがあった。それからすっかり熱電発電のことは忘れていたが、その後も研究者による熱電発電の開発は続いており、最近では変換効率が太陽光発電に迫るものまで現れたと知って驚いている。高価な材料を安価なものに置き換えたり、積層することで出力を増やしたり、太陽電池と同じような工夫がされている。また、いままでは平板なものしかなかったが曲面状のものも開発された。

 これを工場の排熱パイプに巻き付ければそのパイプ内を流れるガスや液体の温度によって電気が起きて社内電源として使える。現在、太陽熱発電の装置は存在しているが、これはあくまで高温の蒸気を作ってタービン発電機を回して発電する形式だ。熱電対を使えばはるかに簡単な装置で効率も良い。
 日本は世界有数のエネルギー消費国であり、化石燃料などを使うことで大量の熱を捨てている。塵も積もればなんとやら。熱電モジュールによって大切なエネルギー資源をとことん使い尽くすことは日本人の「もったいない精神」にも合致している。原子炉の数百度の熱で熱電モジュールを熱し反対側は水か空気で冷却してやれば所内用の電源として使え、非常時には全電源喪失対策にもなる。

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