日本エネルギー会議

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100年後(5)

5.グリムピクチャー  
   
 将来の人口は現在の出生率により計算され他の分野より正確な予測が可能だ。先進国は人口減少分が途上国からの移民の増加により、100年後もほぼ以前の人口を維持している。インド、中東、南アジア、アフリカ、南米ではいわゆる人口爆発が頂点に達して世界の人口はゆうに100億人を超えている。
 100年後、世界中で温暖化の影響による異常気象が、その程度、頻度ともに上がるという予測は現実味を帯びている。そうであれば、「2.エネルギー供給源を直撃する異常気象」で示したような事態が実際に起きる可能性が高い。また、「3, 21世紀半ばからのエネルギー」で触れたエネルギー源を利用せざるを得ない。
 このまま温暖化がティッピングポイントに達すると、地球はもとに戻れない状況になると言われている。シベリアの凍土が溶けてメタンが地上に吹き出したことと両極の氷が溶けたため反射率が下がったことは重大な結果につながる。そうなれば、22世紀の人々の生活は、グリムピクチャー(グリム童話のように実は怖い内容の話)を想像しなくてはならない。
 高温に干ばつ、洪水で多くの死者が出ることで人口爆発は抑制され、電源や生産設備なども失われ、数世紀前の生活レベルに戻っている。世界各地で食料や資源を巡る紛争が絶えず、二酸化炭素排出規制もままならなくなっている。大気と海洋は循環を止め、どの地点もが熱くなり冷えることがなくなる。容赦ない温暖化の進展の前に、人々は次第に抵抗力を失っていく。さらに想像力を逞しくすれば、カルデラの大噴火、巨大隕石の落下、あるいは核戦争、核テロが起きて地球生命の終末をさらに早めるシナリオもないとは言えない。
 地球上に生命が存在したのは地球の太陽からの距離、水の存在、大気の成分、地下深くのマグマの存在などが奇跡的に整ったからだと言われてきた。冷静に考えれば通常はありえないことが起きたということだ。したがって地球上から生命が無くなるような事態が起きたとしても、それは宇宙では、通常の状態に戻ったということだと思わなくてはいけないのかもしれない。しかし、そのきっかけとなったのが、人々が果てしない欲望を満足させるためにエネルギー資源を採掘し続け、後先を考えずに消費したことだったのであり、これこそが「人間の業(ごう)」なのかもしれない。    
 (つづく)

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