日本エネルギー会議

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国民の反発

 最近、新聞紙上でよく見かけるのが原子力関係の負の遺産とも言うべきバックエンド費用の問題だ。高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉について解体だけで約1500億円、点検や人件費などの維持管理には約2250億円の巨費を要するとされているが、事業主体の日本原子力研究開発機構も含め、これで済むとは誰も思っていないはずだ。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分について経済産業省の担当者は、核のごみ最終処分費用は約3兆7000億円かかり、電力会社がこれを払うと説明している。処分事業の主体となる原子力発電環境整備機構(NUMO)は「現状で確保した資金は約1兆円。目標額に達するよう努める」としている。
 国は2000年に、ガラス固化体4万本の処分を前提に総事業費を約2兆9000億円と初めて試算して電力会社から費用徴収を始めた。物価変動などを踏まえ毎年、総事業費や1本当たりの処分単価を見直すこととしている。この数字も候補地が決まらず具体的な設計も進まない現段階では「現状では概算のレベル」とNUMOは言っている。
 当初、固化体1本当たり約3500万円だった拠出単価は、2016年の改定で約7200万円となっている。10万年先までではなく、最終処分場の立地調査から建設、閉鎖までの100年を考えても3兆円では済まないだろう。
 六ケ所村の日本原燃での再処理、核のごみの分離には13兆9000億円かかるとされており、工場の完成遅れや安全対策を理由に膨らみ続けている。各電力会社が実行中あるいは方針を決めた廃炉工事はこれからであるが、いずれもいままでに積み立てた準備金では不足するのは確実と思われる。
 原子力とは関係ないが、昨年12月7日付朝日新聞に興味深い記事が出ている。それは、元金融庁長官佐藤隆文氏の回顧であり、先の金融危機で公的資金を金融機関に使うことがタブー視され、破綻処理や経営支援が出来なかった体験だ。これは1993年に住専への公的資金注入に対し、「ずさんな経営をしていた連中の尻ぬぐいをするために公的資金が使われたのか」と世の中の怒りが爆発し、さらに大蔵省の接待問題で信用が落ちていたことによると考えられている。
 ほとんど成果を挙げずに終わったもんじゅの廃炉などに税金を使うことに対して、また、処分場や再処理の費用見積が際限なく大きくなって行きそれが電気料金に跳ね返ることに対して、国民から同じような批判が起きないか懸念される。「これらの費用は過去50年にわたって原発の恩恵を受けてきた人々が当然に負担すべきもので、金額は可能な限りコストダウンに努力した結果だ」と関係者は胸をはって言えるのか。
 メディアもこの問題を気にし始めている。今後、もしもバックエンド事業で官民の癒着、あるいは電力会社とメーカーの談合による不祥事など起きれば、世の中の怒りに火をつけることになる。くれぐれも注意が必要だ。
 高齢化を反映して、テレビにさがみ典礼のCМがひっきりなしに流れている。「葬式の費用いくらかかるの。追加なんてないよね」のセリフは高齢者やその家族の心配事を反映している。このCМを見るたびにバックエンド費用に対する国民の反発が気になってくる。

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