日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

国内電力需要の見通し

 先日、東京電力ホールディングスの小早川社長が国内外で再生可能エネルギーを強化する意向を表明したことはメディアでも大きく報じられた。「再生可能エネルギー事業を燃料・火力発電事業に匹敵する柱にすべく強力に推進する。導入コストも徐々に低減しており事業性も高まっている。経営委員会において具体的な検討を加速する」との内容だ。
 有望なエリアとして海外を想定しているが、その理由として「国内での省エネの進捗、人口減少もあり、エネルギー市場事態が縮小傾向である」としている。
 日本最大の電力会社のトップとして国内での電力需要の見通しについて認識を披露したわけだが、その裏付けを知りたいものだ。というのは従来言われてきたことは、産業用の電力需要は省エネ努力で抑えられこれ以上の節約は難しくなっている。
 家庭用、オフィスなどの業務用はいまだに伸び続けいる。エネルギーを使用する際の電力の割合である電化率は今も少しづつ伸びている。電気自動車が普及すればそれはそのまま電力需要となるなど、低い率とはいえ経済成長により電力需要は伸び続けるというものであったからだ。
 資源エネルギー庁が2017年7月に発表した「エネルギー白書2017」の詳細データによれば、GDPとエネルギー消費量との関係はGDPが伸びてもエネルギー消費量は逆に減少傾向にある。
 2011年の東日本大震災の頃から明らかにGDPとエネルギー消費量との関係は従来とは違っている。業務部門以外の部門はすべて減少傾向に入っている。小早川社長の「エネルギー市場自体が縮小傾向である」という認識は当たっている。
 実質GDP1単位当たりの一次エネルギー消費で、日本は世界トップクラスであるが、東日本大震災以降はさらに省エネが進んでいることになる。省エネが進んでいる日本ではもうこれ以上の省エネが困難との見方があったが、実際はこれを打ち破って家庭部門や業務部門でもさらなる省エネが行われている。
 では電力需要はどうか。ここでも同じようなことが起きている。日本の電力需要は東日本大震災で落ち込んだあと、回復することなく着実に減少を続けている。電力供給には最大需要電力に対しての発電設備が必要となるが、夏冬ともに最大需要は下がっている。
 これから人口減少するとともに、地方から東京へ若者を中心に人口移動が進む。東京だけが人口増加。しかし、それも2025年まで。その後は東京でも人口が減少していく。これらを考えれば、小早川社長が「新しく稼ぐ市場を求めるには海外が有望。再エネは世界で今後10年程度で約500兆円の投資があり、必要に応じて国内外のパートナーと組んで事業を進めたい」としたことは的を射ている。
 地方では既に人口減少傾向が顕著で、それによりエネルギー需要や電力需要が減少する一方となっているが、それに対して各地方の電力会社が新電力あるいは電力中央三社の攻勢が続くと見られるなか、今後どのように売上規模と利益を確保し会社を存続させていくかの戦略があまり見えてこない。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter