日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

永久に不滅

 1974年に球界のスター長嶋茂雄の引退セレモニーにおけるスピーチで「我が巨人軍は永久に不滅です」のフレーズは使われた。このシーンは何回も放映されているので、日本語としては少々問題があるこのフレーズは比較的若い世代にも知られている。あれから半世紀が経つが、巨人軍は常勝ではなくなりシリーズチャンピオンからも遠ざかっている。球団自体はまだ存在しているが、これから100年後まで巨人軍が存続し続けると太鼓判を押せる人はそう多くはないだろう。
 原発の廃炉で生ずる低レベル放射性廃棄物の処分において、放射能レベルが安全上支障のないレベル以下になるまでの間、廃棄物埋設地の管理を継続する必要があり、管理期間は一番放射能レベルが低いL3が30~50年、それ以外のL1及びL2は300年程度と見込まれている。これは、民間企業の電力会社にとっては相当に長期の管理責任であると思われ、電力の完全自由化後には、その管理体制について改めて見直す必要が出てくる。
 300年後と言えば、「我が社は永久に不滅です」どころか「我が国は永久に不滅です」さえも怪しい。過去に遡れば300年前はまだ徳川時代の初期である。今の少子化傾向が続けば300年後、日本の人口は450万人 (現在の宮城県と新潟県を合わせた人数) になる。
 300年後も責任を持って放射性廃棄物を管理出来ると断言するのは当の電力会社であっても自信がないだろう。まして説明会が始まったばかりの高レベル放射性廃棄物固化体の処分地はとんでもない先までの話で、たとえ誰が「任せてください」と言ったとしても人々から「お前は何歳まで生きるつもりか」と笑われるだけだ。
 それだからこそ、小泉元首相の直感的「原発推進無責任」論が多くの人に対して説得力を持ってしまうのだ。国や電力会社が原発を絶対に必要だと説得する絵を作るには何かピースが欠けている。そのピースのひとつが放射性廃棄物の処分場問題だ。
 「電力会社や国は永久に不滅なのか」と反論されないよう、ここは少なくとも30~50年間は責任を持ってしっかり管理することを約束し、その間に次の50年までの管理について対策を練るという方法を提案するべきではないか。それも無責任だと言われようともそのほうが「300年間の責任保証」より誠実だ。長嶋茂雄は名言(迷言?)を残したが、国や電力会社が根拠もなしに長嶋茂雄ばりに「我々は永久に不滅です」と言うのは不遜である。  

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter