日本エネルギー会議

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百戦危うからず(2)

 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」は孫子を基にしたことわざ。意味は敵と味方の実情を熟知していれば、百回戦っても負けることはないということだ。
 脱原発を旗印に再生可能エネルギーを推進しようとする人々には、電源としての再生可能エネルギーの長所や利点を強調するが、短所や欠点にはややもすると認識が甘くなる、あるいは問題を過小評価してしまう傾向がある。これでは百戦危うからずどころかいつまでも目的を果たせないだろう。
 再生可能エネルギーに固執するのであれば、電源としての再生可能エネルギーの短所、欠点をしっかり再認識をするところから始める必要がある。そのうえでそれを克服しうることを示せば長所や利点を云々する以上に国民の再生可能エネルギー支持に繋がるはずだ。
 再生可能エネルギーにはいくつもの種類があるが、ここでは代表的なものとして太陽光発電と風力発電を取り上げる。(水力発電は別途、またバイオマス発電は火力発電に含める)

(電源としての特性)
・気象条件により出力が一定しない。系統につなぐにはバックアップや蓄電池が必要となる。
・太陽光発電は夜間や雨天ではまったく発電しない。朝夕は出力が小さい。雪が太陽光パネルに積もると、溶けるまで数日発電できない。また、噴火によって降る火山灰にも弱い。
・火力発電や原子力発電と比較すると出力は小さく小規模分散型電源である。大きな出力を得るためにはかなり広い土地が必要となる。
・太陽光発電設備は20年程度の耐用年数があるが、経年劣化で徐々に発電量が低下する。
・需要が少ない時に太陽光発電や風力発電が好調であると、発電を停止しなくてはならない場合がある。

(建設、運転の条件)
・建設地は日照、風況、消費地との距離などにより、適・不適がある。 
・土地の利用において太陽光発電は食料供給のための農地と競合する。
・風力発電は陸上と洋上があり、洋上がより風況が良いが建設費がかかる。
・自給自足的に使えるが、大消費地に送るためには送電線を必要とする。

(経済性)
・近年、太陽光発電や風力発電の発電コストは世界的に急激に下がっているとはいえ、日本ではまだ発電コストが他電源と比べて安いわけではない。
・一度建設してしまうと運転期間中はそのままの運転コストであり、パネル交換などしなければ出力増加は出来ない。
・日本ではコスト高をカバーするため、当面、固定価格買取制度を採用せざるを得ず、消費者に賦課金負担が生じている。
・廃棄物の処理処分の費用が未確定で後に負担となる恐れがある。
・自然災害に比較的弱く、設備が壊れ経済的に破綻するリスクがある。

(安全性)
・耐震性は一般の建築物並みで、大きな地震や台風が来れば、相当の被害が出る。
・風力発電は強風や雷に弱い。破壊された場合、周辺に被害が及ぶ。
・太陽光発電装置が損傷した場合、周囲への飛散や感電の危険がある。
・山林を伐採したメガソーラーは崖崩れの恐れ、海岸近くは高波、津波の被害が想定される。
・太陽光バネルは廃棄物の処理処分にあたり有害物の問題がある。

(困難な合意形成)
・風力発電では騒音のため、周辺住民の合意を必要とする。景観が問題となる場合もある。
・太陽光発電は近隣の住民が熱や光で迷惑する場合、設置が困難である。
・メガソーラー、風力発電所は景観に悪影響があるため、規制を受けたり住民の反対がある。
・賦課金がこれ以上大きくなると消費者から合意が得られない。
 
 これらの短所、欠点は開発当初から分かっていたことも多く、それなりの対応策を講じてきたが、まだ不十分な点がある。今後これらをどのように克服するか処方箋を書く必要があるが、それはいつまでに出来るのだろうか。続いては火力発電、水力発電についてもその短所、欠点を示し公平を期さなければならないが、それは次回以降とする。                  (つづく)

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