日本エネルギー会議

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不可解なこと

 このところメディアは「森友学園問題の決裁書書き換え」一色になっており、連日霞ヶ関では「麻生辞めろ、安倍も辞めろ」のデモが行われている。国民の代表の集まりである国会に対して佐川理財局長の国会答弁に合わせて書き換えた決裁書を示したことに前代未聞だと非難の声が上がり、焦点は「誰が、いつ書き換えを指示したか」ということに移っている。それもひとつの解明するべき点ではあるが、最も解明すべきは「誰の指示で土地の値引きをしたか」ではないか。
 民間企業で勤めた経験のある私には不可解なことがある。民間企業で内外の圧力によって公正さを捻じ曲げたり、違法行為をしたりするのであれば、絶対に証拠を残さないようにするのが大原則だ。
 例えば、社有地を特別な配慮をして誰か(例えば社長夫人のお友達)に大幅値引きをして売却するという異例の措置をする場合、その決裁書に詳しい経緯や、これは特別な計らいであることを書いて上司に伺いを立てれば間違いなく「そんなことを書いてはだめだ」「私より上の決裁権限者には全部口頭で事情を説明してハンコをもらえ」と指示され、何処から見ても不自然なところがない内容に書き直させられるはずだ。
 外部に明らかになればまずいものはこっそりやるのが当たり前で、どんな小さなことでも証拠を残すようなことはしない。たまに担当者のメモ書きやパソコンのメモリー、社内メールからばれることがあるので、一切の記録を消すようにするのが常識だ。管理職になれば誰もが自分の腹にしまったまま墓場まで持っていくものが一つや二つはあるはずと聞いたこともあった。
 ところが今回、財務省のオリジナルの決裁書には事細かに何故異例の措置を取るかの説明が書いてある。そして国会議員に提出した決裁書では、まずいところがすべて削除されていた。残してはいけない内容を何故オリジナルの決裁書に詳しく書いたのか、まったく不可解だ。  
 また、今回は書き換えに関わった人の数が多すぎる。こっそりやるためには、最小の人数で行うのが常識だろう。闇取引をするには、密室で関わる人数を最小限にするのが原則だ。しかも、本当に信頼出来る者しか選ばない。今回の財務省の事件では本省、部局、出先機関まで総動員して書き換えをしている。これではどこからか外部に情報が漏洩するのは当たり前だ。省庁の中の省庁であっても、数多くの職員の中には組織体質や上司に不満を持っている、あるいは正義感から不正を許せない者もいるはずだ。
 理財局内で詳しい経過を書いたオリジナル決裁書が通ったということは何を意味しているのか。それは担当者から決裁者である局長まで全員がこの値引き契約に疑問を持っていたということだ。おかしな契約だから後々問題になったときに自分たちに責めがこないように細かく状況を記載したのだ。
 記者会見で麻生財務大臣が、「局が自発的にこの契約をした、あるいは局内の一部の職員が書き換えをやった」と言っていたが、そうであれば、オリジナル決裁書には初からあのような詳しい事情を書かず、書き直しした決裁書のようなシンプルな内容になったはずだ。ここから推測出来ることは、特例的な契約をするように迫ったのは、理財局長よりさらに上のレベルであったということになる。最も解明すべき「誰の指示で土地の値引きをしたか」については既に答えが出ているのである。

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