日本エネルギー会議

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国により異なるリスク

 一般的にリスクは「発生頻度×被害の大きさ」と定義されているが、原発事故の場合は被害の大きさが一律ではない。福島第一原発の事故では、1号機から4号機が破壊し廃炉となったこと、放射性物質が広い地域に拡散し住民の避難や除染が必要となったことにとどまらず、およそ考えられる事すべてが被害として顕在化している。  
     
・地震と津波に遭いながらも冷温停止した福島第一原発5号機、6号機は廃炉することを決定せざるを得なかった。(スリーマイル島原発事故ではそのようなことはなかった)
・事故から7年経った今でも、福島第二原発4機の廃炉を県知事から要求され、再稼働の見通しは立っていない。
・福島第一原発の事故後まもなく、全国の運転中の原発は停止した。(法律上は停止の必要はない)
・事故再発防止のため、新たな規制基準が設けられ、これに適応するための審査や工事が行われているが、いまだに多くの原発が停止している。また建設中の原発や再処理工場、研究施設など関連施設についても同じく停止した。
・除染などの基準が国際的な基準や科学的裏付けによらず、年間1ミリシーベルトとなったため、費用、作業量が巨額なものとなり、7年経った今も帰還困難区域が解除出来ないでいる。
・国内外における風評被害はいまだに収束しておらず、農業、漁業で大きな経済的損失が発生した。
・放射線による死者は出ていないにもかかわらず、避難などによる多くの関連死が発生した。
・トリチウム汚染水の海洋放流が漁業者などの強い抵抗で出来ず、巨額の費用がかかるタンク貯蔵が続いている。

 福島第一原発事故の事例でも分かるように、被害の大きさは事故の影響範囲や深刻さ、再発防止策、原子力に関する国民の理解度、メディアの伝え方などで違ってくる。福島第一原発の事故と同じ事故が他の国で起きた場合、被害の大きさは当然違ってくる。
 国内でも東海第二のような人口を多く抱えている地域にある場合は、福島第一原発の事故と同じ規模の放射能の拡散があれば、福島より大きな被害が予想される。日本の場合、原発事故が起きた場合の被害想定は世界の平均より大きいと言えるのではないか。これを小さくしないと原子力の経済性が失われる。
 また、大事故の発生頻度についても、原発の型式や建設時期、運用状況によって異なり、地震や津波の発生頻度も国ごと、サイトごとで異なる。発生頻度と被害の掛け算であるリスクは、本来、発電所毎に存在するはずだ。安全審査においては、固有のリスクの高い原発にはそれなりの厳しい対策が求められていると考えられる。
 経済産業省、原子力規制委員会、電力会社は個別に原発のリスクを発表していないが、そのねらいは住民の懸念が特定の発電所に集中しないようにするためだろうか。サイトごとに個別に違うリスクが存在するのであれば、事故防止対策だけでなく事故対応準備や避難計画も個別のものでなければならないことになる。さらに言えば、発電コストも採算性もサイトごと、号機ごとに違ってくるはずだが、電力会社は再稼働するか廃炉にするかの結果しか公表していない。

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