日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

廃炉の影響を考える

 四国電力が伊方原発2号機の廃炉を決定した。四国電力によれば、再稼働には相当の費用、期間が必要となり、出力、需要予測などを総合的に勘案したという。既に1号機は廃炉作業中で、伊方サイトは3号機だけになった。
 複数号機のサイトでの一部廃炉は、他にも関西電力の大飯原発1、2号機と美浜1、2号機、原電敦賀1号機、九州電力玄海1号機、中国電力島根1号機、中部電力浜岡1、2号機があり、今後も増える可能性がある。更田原子力規制委員会委員長は複数号機の場合、事故対応に難があると指摘しており、それだけ考えればサイト内の号機数が減ることは心配が少なくなることになる。
 廃炉によりサイト内の機数が減ることで、すぐに影響の出そうなのが電力会社とメーカー、工事会社の原子力部門の人材問題だ。廃炉になれば現場では運転員数十人がいらなくなるが、事務部門、技術部門、保修部門は同じように減らすわけにはいかない。
 また、本店の原子力部門にしても同じで、機数に応じた減員は出来ない。従来、1サイトの機数を増やすことで人材の活用を図ってきたのが、逆に1機あたりに人手をかけなくてはならなくなる。各原発の本社経費の分担も一気に増加し、発電コストを押し上げることになる。
 1サイトの運用で人材運用上一番有利なのは4機であり、これ以上増えると増員が必要となる。規制側の常駐検査官の数も同じことだ。1サイトの機数が減ると、メーカーや工事会社は常駐の社員を減らさざるを得ない。年間に3~4回の定期検査工事が受注出来ればよいが、1回~2回であれば多くの常駐員は置くことが難しくなる。となると定期検査時や事故・トラブル時には他のサイトから従来よりも数多くの応援を求めなくてはならなくなる。
 しかし、当てにしていた他サイトも定期検査中あるいはトラブル対応中であれば、おいそれとは来てもらえず苦しい状況に追い込まれる。運転中の機数が減ることで運転経験、保修経験、トラブル対応経験などが少なくなり、若手の育成にも影響が出るものと思われる。原子力部門の総人員が減ることで人材のやりくりが難しくなる。
 通常、原子炉メーカーや工事会社は、他の原発での事故トラブルによるバックフィットで改造工事が受注出来るが、1サイトの機数が減ることで受注額は確実に減ってしまう。工事費も割高になり電力会社にとっても負担が増すことになる。
 機数が少ないサイトが増加すれば、電力会社や原子炉メーカー、工事会社は技術協定、相互乗り入れなどアライアンスが始まり、最終的には原子力部門を切り離して他社の原子力部門と合併させる可能性がある。
 地元にとっては機数が減れば、原発の運転に係る経済的効果も薄れるが、廃炉という新たな産業が立ち上がるため、地元雇用、地元調達、税収などを見込むことが出来てそれほどの影響はない。むしろ廃炉という安定した工事が30~40年続き、経済的にはより安定し、情勢によっては、その先にリプレースも期待出来ることになる。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter