日本エネルギー会議

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電力流通ビジネス

 これからの日本は人口が減少するとともに、若者を中心に地方から東京へ移動が進むが、それも2025年まで。その後は東京も人口が減少していく。地方はどこもかしこも人口が減る一方になり、そうなると銀行やデパートはおろかマグドナルドもガソリンスタンドもコンビニも撤退していく。地方の大手電力会社は需要が先細りし始めているが、例え電気自動車が普及しても電力の売上は産業部門も民生部門も需要が釣瓶落としになる。
 既に自由化で新電力に顧客を奪われ始め、懸命のテレビコマーシャルを打っている地方の大手電力会社は泣き面に蜂となる。当面、人口が維持される関東地方は、もともと最大の電力消費地であり、すでに地方電力や新電力の顧客獲得の一番のターゲットになっている。
 大消費地を抱え御三家と呼ばれる東京電力、関西電力、中部電力は従来、水力発電所や原発を他の電力会社の管轄地域に建設し、そこから長距離送電をしていた。長野県、富山県、福島県の水力発電所、福島県や新潟県や福井県の原発がそうだ。
 それ以外にも中部電力は北陸電力から、関西電力は中国電力から東京電力は東北電力から相当量の電力を購入し、供給している電力会社は年々卸売電力の傾向を強めている。こうしたことから、大手電力御三家は互いに顧客獲得競争をするとともに、しだいに電源確保のために地方の大手電力と事業を提携したり統合したりして結びつきを強めて行くものと思われる。
 日本の場合は9電力体制であったために、地域間の電力融通より遠隔地にある自社および他社の電源から大都会への送電が行われていた。今後は北海道、東北、九州などで再生可能エネルギーによる電力が大量に作られれば、それも加わると、大都市圏への送電の必要性がますます高まりそうだ。ドイツでは風力発電の盛んな北部から大消費地である南部への送電線が地元の抵抗でなかなか建設出来ないで困っているようだが、日本の場合も今から送電線を新たに建設することは土地の確保問題がありそうだ。
 ひとつの解決策は、新幹線や高速道路に沿って地上あるいは地中送電線を布設することだ。トンネル区間や河川部分は地上に鉄塔を建てればよい。今は本業に固執することなくビジネスを新たな分野に展開することが流行っている。高速道路会社やJR各社で、所有する資産を活かすビジネスとしてやることは考えられるのではないか。
 もう一つのやり方としては直流送電ケーブルを日本列島周囲の海底に布設する方法がある。巨額な投資を伴う事業となるが、陸上で新たな送電線を建設するよりは時間がかからず、ヨーロッパでやっている事例を見れば技術的にも経済的にも不可能な事業ではなさそうだ。これは電力会社、通信会社、ケーブル製造メーカーなどが組んでやれば出来るのではないか。 
 首都圏が夕闇に沈む時刻であっても、九州や奄美諸島ではまだ太陽光発電が発電している。この電気をちょうど夕刻で電力需要が立ち上がる関西圏や首都圏に送ることが出来れば火力発電の燃料費を抑制出来てお互いに好都合だ。
 また東北や北海道の電力は西日本の朝方の需要に応じることが出来る。各地で接続制限が起きるほど再生可能エネルギーが時間帯によって余るようになったが、これを消費地に送って有効に使うことが出来れば、大消費地の電力会社も高コストの古い発電所を動かしたり、余計な設備投資をしたりしなくて済み、国全体での無駄が生じない。
 また、再生可能エネルギーによる電気だけでなく、地方の大手電力会社が過剰に抱えている火力発電所や原子力発電所の電力の販売先を確保することで経営を安定させることにもなるのではないか。

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