日本エネルギー会議

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原発と若手人材確保

 福島第一原発の事故以降、審査や対策工事に時間がかかる、裁判所から停止命令が出るなど、原発の再稼働は遅々として進まない。現場では若手の職員が、実機での運転経験を積むことが出来ないまま毎日を過ごしている。電力会社は今後も運転再開に備えるとともに、技術伝承のために若い社員を確保しておかなければならず、彼等の教育と士気をどう保つのかに苦労している。
 電源に占める原発の割合をエネルギー基本計画どおりにしようとする努力が国と電力会社で続いているが、最大のネックは地元対応でもなく、設備的な問題でもなく、若手人材の確保である。先日も更田原子力規制委員長が、運転状態を知らない電力会社の職員が増えていることで、技術継承や体験に支障が生じていることに関して「一定の恐怖感を持っている」とのコメントを出している。「恐怖感」は表現がきつすぎと思うが、将来を考えるとそうとも言える。
 昨年の防衛白書には「社会の少子化、高学歴化の進展に伴い、自衛官の募集環境はますます厳しくなることが予想される」とある。これから国を守り、インフラを維持していくには、やはり若い力が不可欠であり、若年の人口が数を減らし続けるなかで、自衛隊だけでなく、海上保安庁、警察、消防、輸送機関、電力会社などのエネルギー産業が、国内外の民間の企業と競い合って若手人材の確保に凌ぎを削ることになる。原発の運転員は24時間交替勤務制であり、50代の人には体力的に辛いものがあり、どうしても若手が必要となる。
 今すぐに政府が大胆な手を打ったとしても、20年後には20代の男性は今より100万人減少する。その中で、電力自由化や福島第一原発の事故の影響による経済的損失で大手電力会社の人事面の処遇はかつてのような世間で一流の高さと安定を維持しづらくなっている。果たして若い世代に原発の運転員の職業としての魅力をアッピールすることが出来るのか。
 原発は設備的な安全とともに熟練の技術を伴って運転をしなくてはならず、この問題を解決しなければ、原子力規制委員会が合格を出し、地元自治体が賛成にまわろうとも、原発の安全運転は確信が持てない。
 最近、周辺の市町村との安全協定締結に踏み切ってまで再稼働を目指すとして注目を浴びた日本原電の東海第二原発は、伝統的に「人は石垣、人は城」のスローガンの下で運営されてきた。更田原子力規制委員長が恐怖感を持つのであれば、電力会社は原発の人材問題に何らかの自主的措置を取らねばならないし、規制委員会は人材確保に関して何らかの新規制基準を提案するべきだ。

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