日本エネルギー会議

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きっちりとやってほしいこと

 石川迪夫氏による「時評」(3月28日付け電気新聞)を読むと、福島第一原発で7年前に何が起きたかを理解出来る。数年前に出版された著書のエッセンスが書かれており、「炉心の溶融は、高温の炉心に注入した冷却水が発端であったこと、炉心溶融を引き起こした熱も広く知られた崩壊熱ではなく、冷水と高温被覆管の化学反応熱であったこと、爆発した水素ガスは、この反応で還元された水が素材であったこと。したがって溶融、爆発の事故経緯は、高温のジルコニウム被覆管と冷水の反応で合理的に説明できる」と明快だ。
 さらに「あの事故でも炉心溶融は防止できた。故・吉田昌郎所長の下した原子炉減圧の命令がそれだ。減圧で噴き出す蒸気が炉心を冷却するので、被覆管温度も下がり、注水による反応は生じず、炉心溶融はない」と正しい対処方法も書いてある。
 そこで今後、全国の原発できっちりとやって欲しいことが二つある。一つは万が一にも、3.11の福島第一原発と同じような状況になったとき、運転責任者なり原子炉主任技術者なりが、石川氏と同じ認識をその場で持て、正しい判断を出来るように日頃から研鑽を積んでもらいたいこと。もう一つは原子炉減圧を、全電源喪失を含めたいかなる事態においても直ちに実施出来るように設備を改良し、訓練も積んでおくことである。前者については原子力規制庁の職員も同じレベルでなくてはならず、また、後者について、原子力規制委員会は「現在考えられるあらゆる条件下」で設備と訓練の両方をしっかりと確認して欲しい。
 軽水炉では炉心溶融はこの経過でしか起きないのか、別の経過で炉心溶融が起こり得るのか、また、水素爆発も違った原因で起きることがないかも知りたいと思う。石川氏は炉心溶融の経過説明をマスコミが取り上げないと「時評」の中で嘆かれているが、国や電力会社は炉心溶融が起きるとすれば、どのようにして起きるのか、その対策はこうするのだということを、原子力規制委員会が監修したビデオでも制作して国民に伝える必要がある。もし実現すれば、今まで事故は起きない、起こさないという内容でしか広報活動をしてこなかった電力会社にとって画期的なものとなる。

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