日本エネルギー会議

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地方の電力会社のこれから

 東北地方は全国的に見ても最も人口減少が進み、人口は仙台市などに集中していくことが予測されている。東北電力は3月に2018年度の電源開発計画を発表したが、それによれば今後の需要見通しなどを踏まえ、新たな電源開発はせず秋田や東新潟など火力発電所4機を廃止する。
 女川原発の再稼動が見通せない中での計画だが、いかにも需要の先行きが細っているかを思わせる内容だ。全国で見ても地方の大手電力会社はいずれも東北電力と似たりよったりの状況。首都圏などの顧客開拓に撃って出る戦略もあるが、ここはまず足元を固めるために新たなビジネスモデルを作り上げる必要がある。
 住宅用の太陽光発電の発電コストは一般家庭が支払う電力料金のレベルに近づいている。これからは、FITで電力を売るのではなく、自家消費するために太陽光発電設備を設置する住宅も多くなることが予想される。
 地方の電力会社はこうした動きを先取りして、積極的に戸建住宅に太陽光発電を設置してリース料の形で電力料金とセットで投資を回収するビジネスを展開することが考えられる。なにより、電力会社は不安定な太陽光発電をバックアップするための電源と送電線を確保しているから、自分の顧客だけにバックアップの際の電気料金を安くすることで有利な戦いが出来るはずだ。これは住宅だけでなく集合住宅や企業向けにも応用出来る。
 エコキュートなどの例を見ると、家電量販店や住宅メーカーが機器を販売し、電力会社は需要の減少の影響だけを被っている。太陽光発電も同じ道を歩んでおり、そのうち夜間用の電気を貯める蓄電池も販売されるだろう。これでは電力会社はジリ貧だ。これからFITによる太陽光発電の買取りが廃止されると、ますますその傾向が強くなる。最近では携帯電話やインターネットなど通信関連企業や石油会社が、通信契約あるいはガソリンや灯油の販売に併せて電力を販売することが行われている。
 今までは各世帯は電力を主力商品とする地方の電力会社と安定的な契約に基づいて消費することがほとんどであったが、近頃では電力が主力商品ではない売り方で販売されている。地方の電力会社は電力の顧客の囲い込みとともにガス供給も行い、地方での総合的エネルギー供給企業の座を確立せねばならない。
 他方、地方の電力会社のビジネスのもうひとつの大きな柱は、従来から行っている首都圏など大消費地に向けての電力供給だ。近年、東北電力や北陸電力はJパワーや日本原電のように卸売電力化の傾向を強めている。
 ここでやらねばならないことは、原発の再稼働とともに環境負荷の少ない天然ガスによる高効率の火力発電の比率を増やすこと。旧式の火力発電所を廃止するだけではなく、大消費地向けのよりコスト競争力のある火力発電所を建設し、小売の電力会社に供給していくことだ。今まで地域独占と総括原価方式に守られてきた各地方の電力会社は、頭を切り替えて生き残りをかけて新たなビジネスモデルを再構築しなければならない。

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