日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

原子力関係者の責任

 何故、どのようにして福島第一原発の事故は起きたか。廃炉工事の進捗とともに、原発内部の状況が明らかにされ、現場の裏付けがある事故原因と経過が分かるようになることが期待される。また、その内容は海外の規制当局や関係者にも提供されるべきものだ。原子力の関係者は、いかに過酷事故のような重大な事故を起こさないようにするかを探求してきたが、逆にテロリストのような者からすれば、どこに重大な事故の可能性があり、それはどのようにすれば起こすことが出来るかを考えることである。
 福島第一原発の事故以前、反対派が原発の危険性を説いたものを読むとリアリティーに欠けるものが多く、こんな荒唐無稽なことを言っているから、いつまでたっても事業者などにまともに相手にされないのだと思っていた。しかし、反対派や一般人にとって、それは致し方がないものであったとも言えよう。何故なら、彼らは必要なデータもそれを解析する能力にも乏しかったからだ。
 危険性を検討するための情報と能力を一番持っていたのは、ほかならぬ原子力の関係者だったはずだ。規制当局もそれに肉薄するものを備えているべきだった。しかし、一番期待出来た関係者たちがそれを実行することはほとんどなかった。事故当時の原子力委員長は管総理に要請され、福島第一原発事故の最悪シナリオを書いた。その時点で原子力安全委員長は管総理の信頼を失ってしまっていたため、原子力委員長にお鉢が回ってきたのだ。原子力委員長も原子力安全委員長も事故以前に、最悪シナリオを書くことが出来たはずで、それをしなかったのは彼等の怠慢だった。
 電力会社や原子炉メーカー、それから研究者たちも最悪シナリオが頭の中にあっても、それを文字にすることはなかった。もし、それをやれば「あちら側の人」の烙印が押されたであろう。原子力安全・保安院という当時の規制当局内では、大津波警告に対して幹部が「寝た子を起こすな」発言をしている。ただ、過酷事故が起きた際に、どちらの方向に放射能が拡散するかの予測をするコンピュータシステムには、国が100億円もの予算をつけていた。この金を「いかにして過酷事故を起こすことが出来るか」の研究に当てていたらと悔やまれる。
 福島第一原発の事故後、すぐに事故調査のための組織が作られ、未解明の部分はそのままに報告書が提出された。それを基に大急ぎで新しい規制基準が作られた。止まってしまった原発を再稼働させるためにも大急ぎでやる必要があったのだ。電力会社もその内容に不満はあったが、とにかく今はそれに従って審査資料を作り工事に取り掛かることにした。こうして出来た新規性基準は暫定とすべきもので、これを使い続けることは安全を優先するやり方とは言えまい。しかし、今から新たな事故原因が示され、せっかく出来た新規制基準を見直すとなると、再び「寝た子を起こすな」との指示が出される心配がある。 

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter