日本エネルギー会議

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旧態然としたやり方

 エネルギー基本計画骨子案が経済産業省から有識者会議に示された。基本計画は早ければ6月にも閣議決定される。気になるのは、計画があまりにも日本全体の話として議論されていることだ。場所によっては原発の再稼働が思うように進まないことや再生可能エネルギー、特に太陽光発電の伸びが著しいこともあり、全国各地でそれぞれ異なる状況が発生している。その傾向はますます強まっており、一律の議論がしにくくなっている。   
 例えば、九州では既に太陽光発電のピーク時間帯では太陽光発電が需要の80パーセントを賄うこともある。関西では原発が次々に戦列復帰しているが、使用済み燃料保管の限度が問題になっている。地方では人口が目に見えて減少しており、これに伴い電力需要が減っている。逆に首都圏を擁する関東地方では、人口増加が続いており、ピーク時に他の地域からの融通に依存することが度々起きている。この傾向は今後も続くだろう。
 原発再稼働は完全に西高東低であり、水力発電、太陽光発電、風力発電にせよ、地域の事情は各地方で全部異なる。火力発電の内容も地域によって石油、石炭、天然ガスの割合が異なる。自然災害の被災の可能性も違うはずだ。送電線で一定の連系はあるものの、電源と消費地はかなり偏在しているのが実態である。そのことを踏まえて今後、電力供給をどのようにしていくか、また、消費側をどのように誘導していくかも考えていく必要がある。
 これから需要の減っていく地方では再生可能エネルギーを増やす余地が大きく、電力供給を地産地消型にしていくことも考えられる。一方、首都圏のような大消費地で電源を確保しにくいところは、従来どおり200キロ~300キロ圏の電源から首都圏に電力を供給して需給をバランスすることが必要であり、安定さを増すにはさらに遠方の電源を強化しなくてはならない。
 こうした各地方の状況が反映された上で、全国版のエネルギー基本計画となり、それを市場経済のもとで実現しようとする努力がなされるべきだ。経済産業省が上から目線で各電源の割合を決め、事業者がそれに合わせようと努力するという形は昔の9電力体制の時のやり方だ。
 再生可能エネルギーの開発にしても、どの地方にどの程度の開発余地があり、どこの開発に力を入れるかは全国一律にはいかない。電源にも消費にも適材適所があり、それぞれを活かして最適化を目指す必要がある。省エネ、節電についても、もっと深堀りが必要だ。こうすることで計画が数字の遊びでなく、実現性のあるものになるのではないか。電力の自由化は進んだが、エネルギー基本計画の作り方は旧態然としている。

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