日本エネルギー会議

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映像による印象

 多くの福島県民の後押しで、TOKIOがこれからも福島県の農林水産物のPRをすることが決まった。東北地方はどこでもそうであるが、福島県も農林水産業が盛んというイメージが強い。県内のテレビ番組、新聞紙面、雑誌の記事、インターネットなどを見ても、グルメ関連、イベントなど農林水産に関する内容が非常に多いと感じる。また、農業や漁業での原発事故の風評被害から立ち直る姿がしばしば紹介されている。
 福島の食と言えば、会津や白河のラーメンや福島市の餃子が有名だが、道の駅やサービスエリアに行けば、そこには野菜、果物、味噌、ブランド米とそれらの加工品が溢れている。また福島県は全国有数のそば処でもある。果物王国の福島県では苺、サクランボ、桃、梨、ブドウ、柿、りんごと一年中何らかの果物が出荷されて、アジア向けの輸出にも期待がかかっている。
 福島市の西にはフルーツラインと名づけた道路があり、果樹農家が道路沿いに果物の直売店を出している。海では豊富な種類の魚やカニ、貝、海苔など内陸では川魚、ワカサギがあり、それらも原発事故の風評被害をようやくクリアしつつある。漆器や下駄、タンスなどの木工品づくりも盛んであるが、その背景には豊かな森林が控えている。このように福島県では人々の暮らしが自然とともに成り立ってきた。
 だが、統計資料によって現在の福島の産業構造を見ると、県内GDPにおける農林水産業の「第1次産業」、製造業、建設業などの「第2次産業」、サービス業、金融などの「第3次産業」の比率は大まかに言えば、0対3対7だ。就業人口も1対3対6と同じような傾向を示しており、数字を見れば福島県は農業県水産県とはならない。これから県の人口は着実に減少し、高齢化も一層進む。
 10年後、20年後には会津若松市、中通りの三つの都市、いわき市の5地点に県内の人口が集中する。TOKIOには引き続き頑張ってもらうとしても、福島県の農林水産業は高齢化と後継者不足で先行きを危惧せざるを得ない。
 人々の想いと現実にこんなギャップが生ずるのは次の三つの原因だ。一つ目はメディアの取材対象の偏向、二つ目は普段、情報の8割が目から入るため(福島で見られる景色のほとんどが田畑、果樹園、里山の風景)。三つ目は一つ目の裏返しで、人々が自然、農業などへの強い憧れを持っているからだ。三つの原因を「原発の不人気」に当てはめて考えるのも一興だ。
 福島県は東北地方随一の製造業の集積地で、工業製品の出荷額ではトップ。建設業の特需景気が萎むなか、製造業の復活が第二次産業を支えている。今、福島県の豊かな自然や伝統文化は内外の観光客を呼び寄せつつあり、第一次産業である農林水産業は環境保全の役割を果たしつつ、観光産業として第三次産業に吸収される形になるのではないか。

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