日本エネルギー会議

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知事たちの思惑

 福島県の内堀知事と福井県の西川知事は、いくつかの共通点がある。知事になる前に副知事としての経験があり、県政に精通し知事選前から地元でよく知られていたこと、ともに自治官僚出身であることだ。両県は原発の地元としての長い歴史があり、二人の知事の発言は常に原子力の関係者から注目されてきた。
 内堀知事は福島第一原発の事故の時は副知事として、2014年からは知事として東京電力に対して「福島県内の全原発の廃炉」を求め続けている。地震と津波に遭いながらも大事故を免れた福島第二原発も廃炉にすべきとの声が、人口の多い福島市や郡山市、それに会津若松市などでも上がっている。県内には二度と原発事故被災地にはなりたくない、もう原発はいらないとの声が主流だ。
 福島県内に原発がある限り、原発事故の確率はゼロにはならない。それは自動車事故を絶対に起こさないようにするには免許証の返上、マイカーの廃車しかないのと同じだ。世の中では事故を起こすとトップが頭を下げて、「二度と事故は起こさない」と言うが、知事からすれば、「嘘は困る。意気込みと実際を混同してはならない」「ならぬものはならぬ会津の魂」だ。(実は知事は長野県出身)
 内堀知事は福島県の復興の目玉として、原発に頼らない地域活性化策として国の支援を受けながら、再生可能エネルギーを中心とした「福島イノベーション・コースト構想」を推進している。今、浜通りにはメガソーラーなどが続々と作られている。内堀知事のケレン味のない真面目な性格を反映した極めてシンプルな考え方だ。
 一方、長いあいだ原発とともに歩んできた福井県では、西川知事が再三にわたって国に対し、廃炉にした「もんじゅ」に代わる研究を福井県内で行うよう求めるとともに、高レベル放射性廃棄物はもちろん、使用済み燃料中間貯蔵施設も県外に建設するよう執拗に関西電力に迫っている。
 福井県は数十年前から阪大などで原子力工学を修めた卒業生を採用し、県の原子力対策課は県レベルとしては全国有数の知識と能力を備えた専門集団だ。従って、高レベル放射性廃棄物はもちろん、使用済み燃料の中間貯蔵施設がどのようなものであり、危険性は原発よりはるかに小さく扱いやすいものであることも理解している。福島県とともに核燃料税を真っ先に導入した県でもあり、廃棄物や使用済み燃料は課税すれば県や市町村の有力な半恒久的な財源となることもわきまえている。
 福井県は、かつて県内の北陸自動車道をいち早く開通させ、小浜線も関西電力に電化させた。最近では新幹線を県内に通し、早々と新幹線敦賀駅を建設。そこから大阪までの延伸を確実なものとした。西川知事の狙いはどこにあるのか。国や電力会社に対してもんじゅの廃炉決定に対する落とし前と、電力会社の相次ぐ廃炉決定に対する代価要求も考えられる。頑固に筋を通して来る内堀知事に対して、究極のハード・ネゴシエーターを期待されている西川知事。二人の知事が背負っているものは、中央政権と地方政権との確執の歴史なのだ。

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