日本エネルギー会議

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最新科学技術と人々の受容性(2)

 前回、高レベル放射性廃棄物処分場など原発関連の施設を受け入れてもらうためのヒントを得るために、人々が新しい科学技術を受け入れる条件について整理を試みた。今回以降は、明らかになった条件毎に、それを高レベル放射性廃棄物処分場(以下、処分場とする)問題に適応して考察を試みる。
 
受け入れの条件
1.物理的、社会的、経済的な基盤の存在
 新しい科学技術はそれがいかに優れたものであっても、受け入れる基盤や素地がなければ受け入れることは出来ない。それは物理的な条件(地形、気象など)、社会的な条件(科学技術を理解するための教育水準、運営やメンテナンスのための工業水準、導入に必要な資金と運営資金の確保)である。  

(考察)
 日本は広大な国土を持つ国と比較すると地理的条件はよくないが、それでも経済産業省が科学的マップで示したように、火山など除いた適切とされる場所が存在する。今後、地方では人口の急激な減少で多くの自治体が消滅の危機に瀕しようとしており、自治体そのものの存続をかけて受け入れを検討する自治体も出てくる可能性がある。交付金ばかりでなく、後に述べる「4.デメリットに対する償い」の内容を具体化することが必要である。
 処分場が科学技術的にどのようなものかを理解するのに必要な国民の教育水準は十分に高い。しかし、教育水準が高くても処分場について学ぶ機会が与えられていなくては役に立たない。また、感情を抑制し冷静に判断出来る能力がなくてはならない。この点についてNUMOが中心となって活動しているが、高校の教科内容に含めるなど、国民各層が学ぶ機会を思い切って増やすことが必要と思われる。
 放射性廃棄物処分場を設計、建設、運営する技術力は十分に確保されている。しかし、このままでは若年人口の減少、要員の確保難から技術力に問題を生ずる可能性がある。この点については、当該技術力について毎年確認し、不足しているあるいは不足することが見通せた場合は対策を打つことが必要である。
 処分場の建設、運営に必要な資金は現在、電力会社からの拠出金に依っているため電力会社の売上規模からすれば問題はない。ただし、自由化や再生可能エネルギーの伸長によって電力需給のあり方が大きく変わる可能性があることと処分場の選定から建設、運用、閉鎖までの年数が長いため、将来も確保出来るとは限らない。また、資金は電力会社からの拠出金に依っているため、拠出金の根拠となっている「原発による発電電力量」は福島第一原発の事故以降大幅に減っており、この先もあまり回復しないとすれば資金確保のための新たな枠組みが必要となる。

2.現状に問題があること
 現状に満足しているところには新たなものは受け入れられない。現状で問題が顕在化あるいは顕在化しそうになっていること。あるいは我慢の限界に近づいている、状況変化に直面して現状が維持困難になっていること。ただし、まったく新たな価値を提供するものであれば、この条件はない。
  
(考察)
 現在、処分を必要とする高レベル放射性廃棄物の多くは青森県の六ケ所村の日本原燃の貯蔵施設にあり、国は青森県に対して最終処分場にしないことを約束している。また、現在運転中の各地の原発内にも、再処理後に処分場に移設しなくてはならない使用済み核燃料や放射性廃棄物が存在し、それは運転年数が伸びるにつれて多くなっていく。国は福島県大熊町双葉町にある中間貯蔵施設の除染土についても、将来は他県に搬出の約束をしている。
 原発を推進するか否かに拘らず処分場は必要であり、その必要性は時間の経過とともに高まっていく。青森県や各原発立地自治体がいつまで、どの程度の量まで放射性廃棄物や使用済み燃料の現地保管を認めるかは不明であるが、いずれ限度が来ると思われる。現状は、交付金や核燃料に対する課税が行われて地元自治体の財源となっているが、処分場の目処がついていないことに地元は不満を持っている。今後は国・電力会社と地元自治体の交渉がますます熱を帯びそうだ。
(つづく) 

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