日本エネルギー会議

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「エネルギー基本計画」の作り方に疑問

 経済産業省が新しい「エネルギー基本計画」の素案をまとめたが、それに対するメディアや識者の評価は一様に低い。内容が中途半端である、2030年の電源構成などが前回の方針や数字をそのままだ、再生可能エネルギーや原発に関しての踏み込みが不足など失望の声が聞こえてくる。今回は検討委員会の冒頭から世耕経産大臣が「前回の骨格を変えない」と発言し、議論に枠をはめてしまった。大臣発言を聞き、怒って辞任する委員が出ないのがおかしい。黙って聞く人だけを委員にしたとも考えられる。
 そもそも国の計画は「理想と現実のギャップをどう埋めるか」「現状の問題点の解決の方向性」「意欲が感じられる目標の提示」「国民や産業界の共感を得る説得性」など中身があるべきもの。それがないことが失望につながっている。
 まず、検討に当たっては3年前の計画の結果の確認が必要であり、計画との相違については分析がされなくてはならない。それで次の計画につなげられるのだが、それをやっていない。矛盾や課題をそのままにして、対策も具体性を欠いている。数字だけ示して中身はこれから考えるのでは計画とは言わない
 国の最重要課題であるエネルギー計画がこのような作り方をされたのは、経産省が財務省のように「官邸の意思に沿う」ことに努めたからだ。この基本計画を官僚がどのような気持で作成したか、何に一番の重点を置いたかという点から分析すると、政権が揺らぐような議論が起きることは御法度。後で困ろうがどうしようが、今は対立が起きるようなことは書かないという大前提が透けて見える。
 この計画を出した結果で政権の支持率が落ないように、原発立地地域の首長選挙に悪影響を与えないようにということが最大に意識され、経産官僚は全力を挙げてそれを目指したようだ。メディアは「現行計画を追認する結論を見る限り、課題の先送り感が否めない」と批判しているが、何故そのような中途半端なものになったのか疑問を感じるべきではないか。
 日頃モリカケ、ニッポウ、セクハラなどで財務省や防衛省を取材している記者たちがエネルギー基本計画を読めば、経産官僚も政権支持率の低下防止を最優先とする官邸の意を汲んで動いたことを指摘するはずだ。
 計画の中身よりその向き合う姿勢、作成の仕方、委員会のメンバー選定、委員会などの運営、仕切り方などをしっかり追いかけて見る必要がある。それをせずに計画の中身についての感想を述べたのでは、官僚の術中にハマっていることになる。
 評論の中にパブコメ無視という批判はあったが、それだけではないはず。従来はどのようにして計画を作ったか、外国ではどのように計画を作っているか、普通の企業であればどのような作り方をするのかを考えてみればよい。今回の計画のまとめ方は、官邸の意向を意識しすぎたものであることがわかるだろう。

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