日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

最新科学技術と人々の受容性(3)

前回、人々に新しい科学技術を受け入れてもらえる条件について整理を試みた。明らかになった条件を、高レベル放射性廃棄物処分場(以下、処分場とする)問題に当てはめた考察を前回の1.2,に続いて試みる。
 
3.国民の理解
  民主主義国家では、国民の理解が得られることが条件となる。理解に至るためには次のようなことが必要となる。
(1) 新技術を受け入れることで国民の多くにメリットが生ずること。

(考察)
 処分場を作り運用することで、どのようなメリットがあるかについて、高レベル放射性廃棄物がより安全な形で保管され、次世代に安心感をもたらすことを具体的に、現状との比較をもとに示すことが必要となる。そのためには、現在の高レベル放射性廃棄物の暫定的保管にどのような問題があるかも率直に説明されなくてはならない。 

(2) デメリットに対して国民が許容すること。メリットやデメリットが極端に偏在せず公平感があること。
 
(考察)
 現在の高レベル放射性廃棄物の保管により、地元住民がどのようなリスクを負っているか、過去に原発で起こした電気によって誰がメリットを受けたかなどについて明らかにする。また、全国的にダムや原発など電源施設、基地、空港、一般廃棄物処分場など迷惑施設がどのように存在しているかを総合的に理解出来る資料を作成して、地域住民の負担度合いを数値で表す仕組みをつくる。

(3) 高度な科学技術はブラックボックス化が進み、国民が理解することが困難になるため、科学者、技術者、実施主体に対する信頼感が必要となる。
  
(考察)
 科学者、技術者、実施主体が処分場計画の説明の場に顔を見せること。議論の場を公開とし、情報公開を徹底すること。パブリックコメントについては、その意見をどのように処理したか回答を出すようにするとともに、主管省庁が意見を無視するなど不適切な扱いを出来ないように、その回答の妥当性について評価する第三者機関をつくる。難解な科学技術を一般向けにわかりやすく説明できる解説者やライターが必要であり、彼等を育成し活躍の場を与えることも有効である。

(4) 新技術が国や世界、あるいは子孫のためになるとの大義があること。逆に子孫に負の遺産となったり、私企業の利益のためだったりすれば拒否される。

(考察)
 処分場をつくることを先送りせず現世代の責任とすることを国会で議決する必要がある。その前段階として、「何故、現世代で」については科学者、技術者以外に宗教学者、社会学者、心理学者なども入って検討されなくてはならない。処分場を受け入れる地域とその住民に対して、経済的な恩恵の前に、国からの名誉が与えられ全国民からの感謝が示されるようにすべきであり、「金とリスクの引換」と他から言われるようなことのないようにする必要がある。

(5) 外国での実績があること。日本人の場合は受け入れ条件となりやすい。

(考察)
 フィンランドを始めとして、海外の事例、状況について詳しく伝える。また、幌延の施設見学、大都市部での説明会、VRの活用、学校教育教材作成など。説明内容には施設などハード面だけでなく、受け入れのプロセス、アフターケアー、住民の反応などソフト面も含める。
 
(6) 時間をかけ、わかりやすい説明がされていること。特にデメリットについて隠さず正直に説明がされること。これは信頼感とも関係する。

(考察)
 (1)~(5)と同じ。地層処分とそれ以外の方法の比較についてよく説明する。世代別、職業などバックグラウンド別、地域別など相手の知識、経験、理解力に合わせた説明を行うことが肝要である。何人かの伝道師的存在も必要。
                   (つづく)

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter