日本エネルギー会議

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福島第二原発廃炉の決断

  本日、東電の小早川社長が福島県の内堀知事に、福島第二原発の廃炉の意思を明らかにした。東電が福島第二原発の廃炉を明言したのは初めてだ。今まで、知事や議会から再三廃炉の要請があったが、東電は国のエネルギー政策との関連があり判断出来ない、国も東電の経営に関わること、と互いに意思表示を回避し続けてきた。
 首都圏から約200キロと手近なところで440万キロワットの安定電源が存在すれば、例え稼働しなくとも大いに安心だ。また温暖化対策のひとつとしても惜しい。国全体のリスク低減に資するのに、廃炉してしまうのはもったいないと思うが、国や自治体関係者と十分に根回したのちの総合的な判断なのだろう。 廃炉決断の理由は、「これ以上この問題が福島の復興の足かせになってはいけないと考えた」とのことであるが、突然の廃炉表明に何故、今明言したのか、さまざまな理由が思い浮かぶ。

1 新規制基準に適合させるための数年の工事をし、さらに運転期間40年もクリアーしたとしても、その先に福島県民の理解という大きなハードルがある。これを考えると再稼働まではさらに年数がかかり、既に当初の建設費の償却は進んではいるが、追加投資は結局採算に合わず、経営の足でまといになりかねない。

2 人手が不足している。現在福島第一原発廃炉、柏崎刈羽の再稼働、東通りの建設再開などを抱えて、東電全体としても新規事業の展開が急務である。社員の退職もあって人材が間に合いそうもない。

3 民進党が福島第二原発の廃炉法案を提出する動きがある。政権(イコール東電)としてはこれをまともに闘うのは多くの国民を敵にまわすことになり、得策ではない。機先を制してここで廃炉を言ってしまったほうがよい。大型ではあるが運転年数は40年に近いので、他の原発への影響は致命的ではない。政権としても被災地である福島県とは対立したくない。

4 福島第一原発の廃炉では、汚染水の海洋放流、高レベルの放射性廃棄物の仮置き場、処分場の問題がネックとなりそうで、県の要望している福島第二の廃炉宣言で福島県に貸しをつくることが出来る。

5 実質的な子会社である日本原電の東海第二再稼働に向けた動きを支援する必要があり、資金的にも苦しい。東海第二の方が再稼働の見込みが大きく、再稼働すれば東電の電源になる。

6 国や地元富岡町、楢葉町との事前協議に目処がついた。地元としても第二原発を稼働させるより、廃炉したほうが復興はやりやすいとの結論となった。

 もっとも大きな理由は、1と思われる。特にここにきて、現職の内堀知事が次の選挙に出馬することがほぼ確定したため、次の4年間は新規制基準のための許認可申請が出来る見込みがなくなったことが、決断に至った理由と推測している。廃炉表明は続投する知事との関係を少しでも良くしておこうとする意図も見て取れる。

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