日本エネルギー会議

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原発事故の下地は日本独特か(2)

 福島第一原発の事故の原因を掘り下げて行くと、日本人の考え方、歴史などの地層に突き当たった。(過去のエッセイ 戦争調査会と原発事故原因の探求(1)~(8)を参照)そこで「我が国独特の思想、文化、自然条件、経済事情によって福島第一原発の事故の下地がつくられた」とする仮説を立てたが、これは他の国にも言えることではないかという疑問が生じたため、それが日本あるいは日本人独特のものかをより深く考察することにした。今回はその第二回である。

(事故の下地となったこと)
・日本人は好奇心が強く、外国に学び、時として外国崇拝をするが、一度目標を達成するとその成功体験に浸り、もう学ぶものはないと尊大になりがちである。海外で問題が起きても日本は事情が違うと言い、教訓にしたがらない。その間にも世界は進歩し日本は取り残される。日本にもアカデミズム、プロフェッショナリズムがあるが、学問は学問として考え、現場から遊離していることが多い。

(日本独特か否か)
 科学技術を自分のものにし、欧米を凌駕するようになるためには相当の努力と時間が必要である。農耕民族の特徴として忍耐強く努力する民族性があり、努力したことへの自負心から尊大になってしまいがちであることは、日本人独特と言ってもよい。

(事故の下地となったこと)
・日本人は諸問題に対し、取らねばならない対策が分かっても、組織の秩序は乱さないことを優先させて対策の実施を先送りしてしまいがちである。こうした判断が時には致命傷となることがある。

(日本独特か否か)
 日本人が組織の秩序維持を優先させるのは、組織のまとまりが外敵や自然の猛威に対抗するのに必要なことを長い歴史において体験的に学び、それがリーダーの遵守事項となり、組織構成員のDNAにまでなっているからである。
 
(事故の下地となったこと)
・日本人は集団に属することを好み、集団内の空気と違う意見を明確に主張することを控えやすい。リーダーも全員参加を求め、集団内部の和のためには全員が我慢をしたり、不合理なことを敢えてしたりする。こうした非合理的な判断はしばしば手痛い被害をもたらしてきた。

(日本独特か否か)
  不合理なことまであえてするのは、自らが組織内での居心地の良さを求めるがためである。長く続いた封建時代から、都市にも農漁村においても集団としてまとまる方策が家族、村落、講、藩など仕組みとして作られ維持されてきた。教育においては個性を尊重することより同質なことを求めてきた。ここには日本独特のものが見られる。

(事故の下地となったこと)
・日本人の思考は論理的であるより感情に支配されやすく、一度大きな失敗をすると、ひどいトラウマになる。論理性より精神性をより重んじるため、本来は結果が悪ければ評価してはならないものを、努力したということで評価してしまう場合がある。

(日本独特か否か)
 多くの日本人は、美が一番という価値観を持ち、またものの哀れを解するなど文学的である。これを生産活動や戦争にまで取り入れてしまうことで、大きな犠牲を出してしまう。
その背景には神道や仏教の影響も見られる。この傾向が上流階級だけでなく国民一人一人にまで浸透している点では、日本独特と言える。
                              (つづく)

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