日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

最新科学技術と人々の受容性(4)

 高レベル放射性廃棄物処分場など原発関連の施設を人々に受け入れてもらうためのヒントを得るために、新しい科学技術を受け入れる条件について整理を試みた。明らかになった条件を高レベル放射性廃棄物処分場(以下、処分場とする)問題に当てはめた考察を前回の3.に続いて試みる。
 
4.デメリットに対する償い
 受け入れに伴い生ずるデメリットが出来るだけ軽減され、集中しないよう配慮されるべきである。やむなく集中した場合は、そこに何らかの追加的メリットが必要である。具体的には補償、寄付金、交付金、優遇政策、代替品の提供、権利の付与、記念碑、感謝状など。自然環境についてはミティゲーションを行うことが必要となる。

(考察)
 処分場を全国に分散することは管理面から考えて不都合であり、現実には集中すると考えられる。従来、迷惑施設の場合、追加的メリットも補償が中心であった。補償には、地権者やその世代だけが受ける、金額が多すぎれば負担する側の納得が得にくい、配る範囲など配り方が難しいなどの問題がある。また、自治体が補償で公共施設等ハコモノを造ると、その維持費が将来負担になった。そのため追加的メリットは多様なものである方がよい。
 また、メンテナンスに費用がかからずに将来の何世代にもメリットとなるようなものが望しい。処分場の地表に再生可能エネルギー設備を設置することで、その周辺地域の電気代を無料にすることも一案であるが、案について広く世界中の企業や機関から公募するとよい。事故を起こした福島第一原発の周辺では盛んに再生可能エネルギー事業が行われており、一部には利益を町の財源に加えているものもある。

5.メリット伸長やデメリット抑制に関して今後もさらなる改善が期待出来ること、量産によりコストが低減したり品質が向上する、あるいは技術開発によって毒性や環境負荷が減らせる見込みがあるなど、メリット増大、デメリット抑制の見通しが得られれば受け入れの後押しになる。

(考察)
 フランスの例では、核変換によって放射能を少なく出来る方法について研究を続けることを条件にした。そのため、処分場は高レベル放射性廃棄物を容量分搬入後に完全に閉鎖しないことにし、必要によって再び取り出せるようにした。この条件は住民の受け入れ理解に寄与した。日本でも将来、処分場が縮小、あるいは管理年数が減らせるよう、核変換技術の研究と核の焼却炉の建設計画を進めることを約束することは必要なことであろう。

6.休止、変更が容易であること 
 新しい科学技術が新たな方針によって休止あるいは変更が容易であれば、受け入れ判断にプラスとなる。将来の技術進歩や政策変更により、その存在が期間限定で、規模の縮小なども可能であればさらによい。
 また、事故による被害、危険性が限定的であること、万一の際にも被害を少なくすることが可能なこと、事故によるデメリットが長引かないことなども安心要素である。

(考察)
 処分場は、数百年の管理が必要とされ、地中の廃棄物の放射能が自然界と同等になるには10万年かかるとされている。しかし、科学技術の進歩は50年、100年単位で考えれば、相当なものが見込める。高レベル放射性廃棄物の処理処分に関しても核変換などさまざまな技術に革新的なものが出現することが容易に想像できる。そのためにも現在はしっかりとした管理下に置くことが重要であること、技術が進歩すれば、5で示したように再び取り出しより安全にすることが可能であることをよく説明するべきである。また、高レベル放射性廃棄物は原発など動的な設備とは違い、安定していることを十分に説明するべきである。
  さらに、現在は国内で処分をする方針であるが、将来的には国際協力によって、より適切な場所を共同で使うことも考えられるため、このオプションを捨てないことも大切である。

まとめ
 処分場の問題は、最近になってようやく科学的マップを示すなど具体的な進め方がスタートした。しかし、この問題はこれさえ突破すれば、解決出来るといったものではなく、分析で示したようなあらゆる施策を動員する千手観音方式でやらねばならないことは明らかである。特に核変換による無害化技術はこの問題の解決を大いに手助けすることになるので、諸外国との協力も含めて研究を最大限に進めるべきである。また、技術的課題以外に、いかにしてこの問題に全国民の関心を引きつけて、現世代で解決の道筋をつけるかという社会的課題がある。これはいわば外堀を埋めることであり、今はもっぱらここに重点を置いて、各年代、各階層別に地道に活動を展開していく以外に方法はない。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter