日本エネルギー会議

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原子力規制委員長の発言

 「原子力規制委員会の更田豊志委員長は先月30日、原発の施設を解体、撤去する廃炉作業で生じる低レベル放射性廃棄物の一部について、電力会社は施設がある敷地内での処分も検討すべきだとの考えを示した。」と福井新聞が報じた。また、更田氏は、廃炉となった原発が増えていることを念頭に、低レベル放射性廃棄物のうち比較的、放射線量の低い廃棄物の処分地について「早く結論を得なければ廃炉が滞る」と言及した。
 更田委員長は、かねてから福島第一原発の事故に関連して「トリチウム汚染水の処分は海洋放出しかない。東電は事業者として地元対応を」とも発言している。これらの発言は原子力規制委員会の責任範囲を超えている。原子力規制委員会は事業者からの申請内容を新規制基準に照らして審査をすることにより、原子力の安全を確保していくのが本来の役割ではないのか。
 廃炉作業で生じる低レベル放射性廃棄物の処分先やトリチウム汚染水の処分方法は技術的側面もあるが、政策的課題、政治的問題でもあり、それに関して結論めいたことを言ってよいものか疑問だ。原発を所管する経済産業省や電力会社はありがたい水先案内人だと感謝しているだろう。前任者の「規制委員会の審査が通ったからといって安全ではありません」との発言がもどかしく思えたのとは対照的だ。  
 処分地について早く結論を得なければ廃炉が滞ると心配しなくてはならないのは経済産業省や電力会社であるはず。滞ると安全上どんな問題が起きるのかを警告するのが規制委員会ではないか。それならば、規制委員会は廃炉計画の認可の際に、処分先について期限を示せと注文をつけるべきである。
 さらに言えば、東海第二原発の新規制基準適合性審査申請においても、「このままでは間に合わない」などの発言は余計なことではないか。例え申請者の日本原電に対して親切でそう言って急がせても、それを公にするのはいかがかと思う。
 ここから見えてくることは、原発の再稼働、処分場問題などがスムースに運ばないことに対する不満、規制委員会の審査が遅いと批判されることに対する不満、経済産業省や電力会社や地元自治体が問題解決の前面に立たず三すくみの状態になっていることへの不信感を原子力規制委員長がお持ちだということだ。しかし、そうだからといって自ら乗り出すのは問題がある。申請があったら、科学的根拠をしっかり示しておもむろに判断結果を伝えれば良い。試験官が答えを言ってしまい、その結果が違っていたとなれば格好がつかない。

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