日本エネルギー会議

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福島復興を考える(2)

 人口減少が続く日本では、ほとんどの地方がこれから過疎化と高齢化で存続が危うくなる。福島県も例外ではなく、地域の人口密度が低下し住民の多くを高齢者が占めるようになる。福島県は東日本大震災と福島第一原発の事故の影響で、太平洋岸の浜通り地域から他の地域に住民が移動したため、浜通りの過疎化と高齢化が一層深刻だ。
 高齢の住民の多くは生まれ育った土地に住み続けたいと思っているが、交通手段がなくなり、商店がなくなり買い物も出来ないとなると、都市部や県外に移動せざるを得ない。そうなると高齢者以外の人たちも同じように暮らしていけなくなり、限界集落あるいは集落消滅となる。人がいなくなれば、野生動物や植物の進出が始まり、集落のあった場所は人の住めるところではなくなる。これでは復興どころではない。
 大切なのは高齢者が望むこと、即ち元の地域と家で暮らし続けることを叶えることだ。高齢者を都市に移住させたり、一箇所に集めたりという一見合理的なやり方をしてはだめだ。健康維持のため、認知症を防ぐためにも元の生活環境を可能な限り維持し、年金の範囲で生活していけるように工夫する必要がある。過疎地でいままで高齢者がなんとか暮らしていけたのは、行政の支援以外に野菜やコメなどの自給自足、住民の相互扶助があったからである。ほとんどの高齢者は都市部に移動すれば暮らしは以前より苦しくなる。
 第一にやらなくてはならないことは住民の安全確保だ。過疎地域となれば、他地域からの侵入者による窃盗などの犯罪も心配だ。帰還困難区域では外部から侵入され残された家財を盗まれる事件が発生している。避難解除され戻った世帯も、夜間は周囲に人が住んでいないので不安だと訴えている。防犯カメラをつけた自動運転車の巡回などIT技術も活用するべきだ。
 野生動物の被害も深刻な問題だ。猪や熊などから生命や農作物を守るための防護柵、駆除などを徹底すること。逆転の発想で狩猟によりジビエや加工品を得て収入源にすることも考えられる。これからは異常気象で県内でも自然災害が増える。崖崩れなど災害に対する最低限の備えをし、出来ないところは集落内で住民の住み替えをしてもらう。大雨のたびに避難所に避難はやめにすべきだ。
 第二に足の確保だ。地域では車がなければ生活が出来ないと考えている人が大半だが、後期高齢者になれば運転は危険だ。車を維持することも経済的に苦しいはず。免許返上を促すためにも循環バス、デマンドバス、自動運転タクシーを運行すべきだが、料金は政策的に安くする必要がある。免許のいらない電動三輪車に補助金をつけてもよい。
 第三に地域の中心となる施設の確保だ。機能としては、町役場、交番、コンビニか小型スーパー、デイサービス、簡易診療所、郵便局。そこに行けば、生活する上に必要なものが一箇所で揃い情報が得られるようにすべきだ。場所としては地域のすべての住民がマイクロバスやタクシーなどで家から30分以内にいける地域の中心部分に造る。災害対応のための備蓄もここで行う。施設を一体化し担当者を多能化して利用者の便利さを考えるとともに人件費を減らす。集約化をしないまま、手厚い行政サーピスをしようとしても人手不足で行き詰まる。
 四番目は高齢者の固定的支出の抑制だ。避難した人は避難解除の翌年までは介護保険料や固定資産税が免除されているが、その後は免除されなくなる。NHKの受信料などいままで免除されてきたものが、一斉になくなると一気に毎月の支出が増える。介護保険料も個人の支払う保険料が県内どの市町村でも高くなっている。避難により世帯がばらばらになって対象世帯数が増加したことが原因だ。
 水道事業は下水も含めて全国どこの地域でも赤字が大幅に増えているため水道、下水の個人負担は上昇している。人口が減ることで事業の収支悪化は加速する。電気代も最近高くなっている。水と電気は生活に必須なものであり、高齢者が節約しても年金からの負担では厳しくなっている。水道事業と電力供給事業を併せて解決することを考えなくてはならない。

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