日本エネルギー会議

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水素社会実現の道筋(2)

 大型固体高分子型水素発生装置の完成は、太陽光発電だけでなく風力発電に対しても追い風となる。風力発電は出力の不安定さ、立地難、景観、騒音公害の問題があり、洋上に設置しようとすると設置費や送電線敷設の費用が嵩む。ヨーロッパでは洋上風力発電所が次々と建設され、発電コストも下がっているが日本は出遅れている。ここでは風力発電と前回触れた特殊な高分子の膜を使って水を電気分解する大型水素発生装置の組み合わせを考えてみよう。
 日本近海は洋上風力に向いている浅い海が少ないが、6847の離島があり、そのうち6415が無人島だ。離島が多いのは長崎県、鹿児島県、北海道でいずれも風力発電には向いている場所だ。人が暮らしている島の近くの無人の離島であれば、風力発電に関わる諸問題も少ない。また、建設費も陸上と同じ条件で出来るため安い。
 無人島の風力発電装置からは近くの人が住んでいる島まで海底ケーブルを敷設して、そこで水素発生装置により電力を水素に変換して貯蔵する。発生装置全体は40フィートコンテナに収納した可搬式であり、ボンベの運搬・保管・交換が不要。港湾施設がある島であればよい。これで風力発電の出力の不安定さも解決出来る。
 日本列島の近くに水素備蓄基地が出来たようなもので、定期的に貯蔵タンクの水素を水素運搬船で回収すればよい。水素は本土各地の貯蔵タンクを経由してタンクローリーで消費地の水素ステーションに配送する物流網を構築する。水素は燃料電池車だけでなく、住宅用、オフィスビル用に日本の得意とするエネファームで電気や温水として使える。もちろん有人島の住民もガソリンや重油の代わりに水素エネルギーをエネファームで使って発電や暖房に利用出来る。また、島内で車や船にも使える。漁船が燃料電池で動くようになれば、近海での漁船への水素供給も可能だ。
日本は1974年以来、サンシャイン計画から一貫して水素発生装置の開発に取り組んできた。40数年を経て、ようやくその努力が報われようとしている。

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