日本エネルギー会議

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運転能力の確認

 日本原電の東海第二原発が国の審査合格で再稼働に向けて一歩前進した。審査は20年の運転延長と工事計画がなおも継続中。これらに合格したとしても、実効性のある避難計画作りを前提とした周辺6市村と県の同意という高いハードルが待っているが、原発から半径30キロ圏14市町村の大半がいまだに計画が出来ていない。
 日本原電の方針では3年後の2021年3月までに追加の安全対策工事を完了させることになっているが、より重要で困難な問題はハードではなくソフトだ。東海第二原発が再稼働するにはあらたな設備も含め、最新の規制基準に合った運転操作技能がなくてはならない。避難計画にしても計画は計画であって、実際にいろいろなケースを想定した避難訓練が行われて住民の迅速な行動が確認される必要がある。  
 日本原電の所有する3基の原発は福島第一原発の事故以降停止したまま。この間、東海第二原発も含め3基の原発の運転員は当直勤務を継続しているものの、実際の起動から停止までの運転経験が積めていない。7年前の2011年以降の新入社員は稼働中の自社の原発を知らない。その間に運転員は全員が7歳加齢し、なかには運転員を卒業した者もいる。現実にはこの状態がこれから3年以上も続き、合計10年間のブランクが生ずる。
 電力各社では専門の訓練センターのシミュレーター訓練や自社内のシミュレーターによる訓練などで運転能力の維持が図られている。また、原子力安全推進協会が再稼働した原発に各社から運転員を送り込んで、稼働中の原発を体験させるなど、どのように経験を積ませるか模索が行われているが、BWRに関しては稼働中の原発が日本国内のどこにもないので実機での運転中の経験はすることが出来ない。
 BWR(沸騰水型軽水炉)用のシミュレーターを持つ訓練センターは福島県大熊町の帰還困難区域にあって、いまだに立ち入りが出来ない状況が続いており、一部の設備を柏崎刈羽にある訓練センターに移設して訓練や技能認定に使用している。日本原電はこれに加えて東海村の研修センターにある東海第二原発のシミュレーターで社内の訓練を続けている。
 昨年11月に原子力規制委員会の更田委員長は、記者会見で「実際に動いている現場を肌で知っている者の数が少なくなることには、一定の恐怖感を持っており、これをどう補うかは大変難しい」と指摘した。東海第二原発の実働ブランク10年はあまりにも長い。東海第二原発の運転能力について今後、原子力規制委員会は、具体的な問題として確認をどうするか検討する必要がある。  

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