日本エネルギー会議

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原発の安全に対する地元の責任と役割(1)

  
 福島第一原発事故の国会事故調査会報告で、規制当局が「東京電力の虜にされていたため、本来の規制の働きが出来なくなっていた」との指摘がされた。事故を人災だとする報告書の次の記述は今読み返してみても極めて断定的かつ具体的だ。

 事業者が、規制当局を骨抜きにすることに成功する中で、「原発はもともと安全が確保されている」という大前提が共有され、既設炉の安全性、過去の規制の正当性を否定するような意見や知見、それを反映した規制、指針の施行が回避、緩和、先送りされるように落としどころを探り合っていた。

 その構造的な説明として、報告書は
・東電は情報の優位性を武器に電事連等を通じて規制当局に圧力をかけてきた。圧力の源泉は東電と経産省との密接な関係であり、保安院は経産省の一部局であった。

・規制当局は、事業者への情報の偏在、自身の組織優先の姿勢等から、事業者の主張する「既設炉の稼働の維持」「訴訟対応で求められる無謬性」を後押ししていた。

・この結果、規制当局と東電との関係においては、立場の「逆転関係」が起き、規制当局は東電の「虜(とりこ)」となって、原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していた。

 国会事故調の報告書では地元自治体の責任と役割について、ほとんど触れられていないが、このような構造は東電と地元自治体との間で同じようなものであり、一部ではさらに深刻な状況になっていたと考えられる。

(圧倒的な情報の差)
 原発の構造、運用などに関する情報が電力会社とメーカーによって独占されており、規制当局が電力会社に情報依存していることを国会事故調は指摘しているが、その状況は県や市町村の地元自治体においても同じで、むしろ専門性のなさから情報の取得ばかりかその内容を理解する能力も不足していた。さらに自治体において能力を高めようとする意欲も少なかった。
 また、構造に関する情報はメーカーの知的財産保護に阻まれ、運用情報は東電しか持ち得ないものであった。これらの情報を得ようとすれば、自治体は東電や国に依頼するしかない。国も元はといえばそれらの情報を電力会社に依存していたため、実質的には東電がすべての情報元であった。
 東電は国内外の情報を一手に握り、それを提供する立場であるため情報管理が容易であり、要求されても情報を小出しにし、メーカーの知的財産という理由で出せないとした。自治体は無いと言われても反論するすべがなく、それ以上追求することはなかった。情報の収集、分析において東電への依存度が高いことは、地元自治体の安全に対する役割を果たすうえで決定的なマイナスの影響を及ぼした。   
(つづく)

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