日本エネルギー会議

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福島の復興を考える(4)

 福島第二原発の廃炉の方針が発表された。福島県は長い間、首都圏の電源供給基地であったが、10機 910万キロワットあった原発はゼロになり残るのは火力発電所と水力発電所になった。太平洋岸に建ち並ぶ火力発電所も東日本大震災で大きなダメージを受けたが、いまはすべて復旧し増設計画も進んでいる。
 だが、福島県にある主な火力発電所は東京電力の広野火力発電所(6機 440万キロ)、東北電力の原町火力発電所(2機、200万キロ)、共同火力の新地火力発電所(2機、100万キロ)と勿来火力発電所(4機、170万キロ)と、ほとんどが石炭火力であることが懸念されることだ。
 広野火力発電所と勿来火力発電所では増設計画も進んでいるが、最新の石炭火力発電所は高性能であり二酸化炭素の排出量は少なくはなるものの、せいぜい元の半分、天然ガス火力発電所並だ。福島県内で増設する石炭火力発電所は、2030年頃にはパリ協定のために停止させられる可能性がある。
 日本では石炭火力発電所は認可をめぐって経済産業省が環境省を押さえ込もうとしているが、温暖化防止のために石炭火力発電所を廃止しようとする動きは世界的なものだ。パリ協定の目標達成のためには、日本はОECD各国と同様に、2030年までに石炭火力からの排出量をゼロにしていく必要がある。また企業の電源選択等の動きも見逃せない。石炭火力発電所由来の電気が売れなくなれば、安売りしなくてはならない。特に欧米は石炭火力をなくす方向で動いているが、アジア各国はまだ石炭を増やそうとしている。 
 天然ガス火力発電所が増え、原発が徐々に再稼働する。再生可能エネルギーも主力電源に位置づけられたとなると、電力需要が伸びないなか、再生可能エネルギーの不安定さを補っている石炭火力発電所の稼働率は5割を切ることが十分に予想され、そうなると採算が厳しくなる。稼働率は採算を考えると7割は欲しいところだ。投資ファンドが石炭火力に否定的なのも温暖化に対する世論だけでなく採算面もある。日本でも事業性を理由に、石炭火力発電所の撤退が始まっている。
 排出する二酸化炭素を地中に貯留、あるいは活用する技術は開発中であり実用化はまだ先だ。福島県の石炭火力発電所を守るために、県内に二酸化炭素の貯留や活用を研究する機関や実証試験をする施設が欲しいところだ。県内の一部の火力発電所ではバイオマスと石炭の混合燃焼をしているが、当面の対策として、これを全面バイオマスにすることも考えられる。
 福島県は再生可能エネルギーを大いに推進するとしているが、火力発電所の将来性はどうなのか。火力発電所が多いとイメージも悪いが現実的にはまだまだ火力発電所の存在は大きい。ここで働いている人も数千人にのぼる。県として石炭火力発電所問題にどう対処するのか、県民の意見も聞きながら早期に方針を出すべき時に来ている。

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