日本エネルギー会議

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東京水没と原発事故

 地球上どこもかしこも異常気象。気温など異常な値が当たり前になりつつある。台風が東から西に列島を横断するなど聞いたこともない。自然災害による道路、鉄道、電気・通信、上下水道などインフラの破壊が続いている。インフラは過去の気象データに基づいて強度が確保されており、それなりの防災対策も立てられている。しかし、昨今のような「記録を取り始めてからの最大値」が発生し、それがまた上書きされるようでは、元になるデータを見直し、インフラの強度を上げる必要がある。
 南海トラフの大地震が迫っていると地震学者に指摘されているが、台風や豪雨による三大都市圏の水没の危険の方がより差し迫っているのではないか。福島県でも先年、奥会津で大きな水の被害があり、また県の中央を南北に流れている阿武隈川は過去に何回も氾濫している。原発事故で避難してからも郡山市の中心街の一部が水没したことがある。
 首都圏で数十年暮らした経験があるが、今は用事で東京に行く時も何かあったらどうしようと考えるようになった。関東南部で集中豪雨があったら、西日本の豪雨災害どころでは済まない。特に下町に住んでいる人たちが、さまざまな理由はあるにせよ、どうしてそこから出ようとしないのか、また不動産価格が大きく下がらないのか理解出来ない。日本橋の上にかかる首都高を地下に潜らせるのではなく、地下街の安全対策をやるべきだ。東京は二度目のオリンピックを誘致したが、世紀の祭典をやることで大災害が迫っている不安から逃れようとしているようだ。
 福島第一原発の事故前、関係者が過酷事故は起きない、すくなくともすぐに大津波がくるようなことはないと非科学的な思考をしてしまったことがまずかった。豪雨、高潮、大津波による東京の人口密集地水没は、この数年間に限定しても確率が高いと見るべきだが、これまた非科学的な思考をしてそのようなことはすぐにはないと決めつけている。万一の場合、本格的な対応がほとんど無理だということが念頭にあり、しかも世紀の祭典が間近に迫っているという状況は、どうしてもやりたい福島第一原発のプルサーマル実施への地元了解がまもなく取れるという状況に似ている。学者も政治家もメディアも世間を不安にさせないように口を閉じているのも似ている。
 福島第一原発の事故の後、関係者は出来る範囲でよいから、賠償額の何十分の一かを使って非常用電源の強化などやっておけば、あれほど酷いことにならなかったと悔やんだ。事実、免震重要棟はこれがなかったらどうにもならなかったし、形だけのオフサイトセンターはまったく役に立たなかった。働き方改革からカジノを含むIR法案まで一強の力で通してしまった今の政権なら首都を水没から守るための最低限のインフラ投資と必要な法律など簡単に通せるのではないか。

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