日本エネルギー会議

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すでに虚構か(3)

 高度成長期に石油ショックに見舞われた時代と違って、現在は省エネが進み人口が増えなくなったことで電力需要が年々減少しているからであろうか。今すぐに脱原発を主張する人や再生可能エネルギーに関わっている人々は、国民の生命に直結している電力の安定供給に対してあまりにも安易に考えている。多く原発が停止しており天然ガスなど輸入燃料による火力発電に過度に依存、不安定な再生可能エネルギーが年間電力供給の2割にも達していない現状は、エネルギー安全保障という点で戦後最も危険な状況にあると認識すべきだ。

発電量に占める各電源の割合 2017年

 石油に関して日本は、国家備蓄と民間備蓄、産油国との共同備蓄により約200日分が法律により確保されている。しかし、現在の年間発電量において石油火力はわずか4.1%で、火力発電は天然ガスと石炭が主流になっている。天然ガスは備蓄が物理的に難しく、備蓄はわずか20日程度。現地で液化したガスをタンカーが数珠つなぎで運搬している状況だが、日本を取り巻く海域の情勢は穏やかなものとは言えない。
 
 日本人は最悪の事態を考えることが不得意であるが、福島第一原発の事故でもわかるように、考えておかないと実際に最悪の事態が起きたときは酷い被害を受けてしまう。具体的には、戦争やテロで天然ガスの輸入がストップした場合、あるいは東日本大震災のような大災害が発生した場合、最低限の電力供給が出来なければ大混乱は避けられないということだ。
 
 天然ガスの火力発電を代替出来る電源は設備容量からして、いまのところ停止しているものも含めた原発しかない。現在の天然ガス火力が全供給量に占める割合は、ちょうど福島第一原発の事故以前の原発の全供給量に占める割合を少し超える程度だ。原発の現状は稼働中5基、許可済み9基、適合性審査中12基、適合性審査未申請17基だが、既に17基が廃炉を決定している。これ以上原発を廃炉にしてしまうことは、代替電源を切り捨てて危ない状態になることと同じである。
 
 先に述べたように、原発事業の虚構は明らかで、無理な原子力開発は見直すべきである。そうしなければ国民の合意は得られず、将来世代に負担となる。しかし、国民を守る立場からすれば、出力が小さいたため採算が取れないなどの理由で電力会社が現在ある原発をこれ以上廃炉にするのは万一の時に国民の生命を脅かすことになる。企業の社会的責任からすれば誠に身勝手な行為だということになる。次回以降はあるべき将来の姿とそこに至る道筋について
 (つづく)

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