日本エネルギー会議

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福島の復興を考える(13)

(1割自治の町)  
地方の財源は住民税や固定資産税などの自らの力で得る地方税より国から交付される地方交付税交付金や国庫支出金が多く、特に国庫支出金は用途が国から厳しく制限され、地方自治体は他の目的には使うことはできない。自由になる財源は3割から4割程度。財源の面からも地方自治が自主性を発揮できるような余裕はなく、国の下請け状態となっている。「3割自治、4割自治」と揶揄されるゆえんだ。

福島第一原発の事故の影響を受けた福島県浜通りの市町村では、自主財源の割合は一段と低くなっている。私の家がある富岡町の2018年度当初予算によれば、一般会計歳入は約157億円。そのうち自主財源と言えるものは、町税の17億円、地方贈与税の1億円、計18億円にとどまる。(歳入の11%)

これに対して地方交付税は29億円、国庫支出金48億円。県の支出金10億円。206億円ある基金からの取り崩しが50億円となっている。ちなみに一般会計歳出を見ると、総務費31億円、民生費26億円、衛生費49億円、 農林水産費18億円、商工費14億円、土木費32億円、消防費8億円、教育費18億円、災害復旧費3億円となっている。これらは住民が戻ればその分さらに増加せざるを得なくなる。

町の税収が元に戻る気配はない。固定資産税は避難指示が解除されるまでは全額免除されているが、解除の翌年からは復活する。ただし、地価の評価額は福島第一原発の事故以前の半額となっているため、固定資産税もそれだけ減少する見込みだ。町の面積の3分の2が避難指示解除されてから2年近くなる現在も帰還者は1000人未満。(事故前の人口は14000人) その多くが高齢者で主な収入は年金なので税収増とはなりにくい。基金の取り崩しもあと三回やれば基金は底をつく。

働いている世代の住民が戻り、産業活動が再開されなくては税収が上がらない。そうした住民を増やすためにはインフラ整備や住民サービスの充実が欠かせず、それには財源が必要で卵と鶏の関係になっている。復興創生期間は2020年度で終了するが、町全体が解除されるには少なくともあと10年くらいはかかりそうで、町では2023年度以降も国の支援が続くものと考えているようだ。福島第一原発の事故後、かつて造られたハコモノの改修整備とともに、復興住宅や診療所、病院、アーカイブ施設などのハコモノが追加された。また、さまざまな住民サービスも新たに登場したが、これらの維持運営費はその後も町の財政を圧迫し続ける。これは事故前の原発依存の町の状況に似かよっていないこともない。

復興のための国の財源としては、増税が既に実施されており、所得税は2013年1月1日からの25年間は税額に2.1%を上乗せ、法人税は2012年4月1日以降から始まる事業年度から3年間税額の10%の追加徴収を行っている。住民税は2014年度から10年間、年間1000円引き上げている。期間終了後は復興財源がなくなる。それまでに浜通りの市町村の自主財源率を全国平均の4割に戻すことが出来るか。今のままでは、その見通しは暗い。 

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