日本エネルギー会議

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海水冷却方式の難敵

原発ではタービンで使った蒸気を海水で冷却して再び原子炉に戻している。緊急時には原子炉の熱を除去するために使う水を同じように海水で冷却する。この海水冷却が出来なくなれば原発は出力を落としたり停止しなくてはならない。緊急時冷却用の場合は安全装置が働かなくなることにつながる。

以前、温暖化の影響で海水温度が上昇して北欧の原発が冷却十分になり停止したことを取り上げたが、大量のクラゲによって海水の取水口が塞がれて海水による冷却が出来なくなることもある。九州電力の苅田火力発電所は、昨年8月にクラゲが大量に発生し、除去装置でも取りきれず発電を自動停止した。同発電所では2013年8月にもクラゲで自動停止している。

関西電力の火力発電所では舞鶴、南港、姫路第一、姫路第二、赤穂、海南、境港の各発電所が過去にクラゲによる停止や出力抑制を経験している。2012年7月には大飯原発:3号機の海水取水口に大量のクラゲが押し寄せ、2万キロワットの出力低下を起こしたとの記録もある。

発電所では大小の回転式ゴミ取り装置の他に、クラゲ用の防護網を一番外側に張るなどするが、小さなゴミを取る装置にまでクラゲが行ってしまうと目づまりを起こし、取水ピットの水位が低下して十分な海水が取水出来なくなる。
若狭湾はエチゼンクラゲの大量発生が有名だが、近年、太平洋岸はもとより、世界各地でクラゲの大量発生が見られる。クラゲが大量発生する原因はまだ解明されていないが、地球温暖化、魚の乱獲など人間の活動が影響を与えていると思われる。地震や津波に関心が集まっているが、クラゲというゲリラに足元をすくわれないようにしなくてはならない。特に緊急用の冷却に関連する海水取水の確保には、しっかりとした防護対策が出来ている必要がある。火力発電所、原発ともに大出力の電源であり、再生可能エネルギーに期待するとはいえ、現在はこれらに全面的に依存している。だからこそ、海水冷却方式の宿命とも言うべき難敵クラゲ対策に注目する必要がある。

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