日本エネルギー会議

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福島の復興を考える(14)

(「何でもあり」が復興を阻む)
福島県川俣町山木屋地区は、阿武隈高地の北部に位置する山村。飯舘村の西側に隣接しているとしたほうがわかりやすい。山木屋地区は福島第一原発の事故で川俣町の中で唯一避難区域に指定され、昨年3月末に解除されたが、現在までに住民の帰還は3割に留まっている。

事故前の地区の小学生、中学生は計89人で、事故後は町内の別の小学校、中学校の校舎を間借りして近くに避難した小中学生に授業を続けた。川俣町は2018年4月、山木屋小学校と山木屋中学校を統合し小中一貫校とし、山木屋小学校の校舎を大規模改修して開校することを計画。事前に小中一貫校に通う年代の子どもの保護者を対象に帰還や通学に関する意向調査を行った。蓋を開けてみると、小学6年生5人、中学生2.3年生10人の計15人で小中学校とも新入生はいなかった。

今年4月5日には、文部科学省の新妻大臣政務官が出席して開校式が執り行われた。政務官は「皆様に山木屋の学校に戻ってよかったと思っていただけるよう、国としても、山木屋の教育に対して、最大限の支援を行ってまいります」と述べた。(文部科学省のホームページより引用)

ところが、昨日付の河北新報には、「福島・川俣の山木屋小、来春休校も 今春再開も新規入学予定なし」の見出しで、今年春に地元で授業を再開させたばかりなのに、(あと半年で)在校生が全て卒業し、現段階で(来春)入学する児童がいない。地元で再開した学校では初めての休校となる可能性があると伝えたのだ。町の教育委員会は、町に住民票があり来春の就学を控える2人の児童の家庭から、避難先の町外の学校に入学する可能性を伝えられたが、引き続き児童の確保に努める方針だ。 

このことは地元のテレビのローカルニュースでも報道されたが、小学生がいなくなっても中学校は来年度以降も授業を続けるという。今年の4月時点で、小学校は6年生しかいないので今年1年限り。彼らが中学に行っても4年後には生徒がいなくなることは十分に想像がつく。

朝日新聞のローカル版にもこれに関する記事が載った。その記事でショックだったのは、「旧山木屋小学校の改修費が10億2千万円だった」と明かされていたことだ。記事の書き方は淡々といたものだが、読めば誰もが県や町の計画の甘さ、見境のない予算の使い方に疑問を抱くことだ。その背景には国の福島復興に対する焦りも見え隠れする。他のメディアに改修費に触れたものは見当たらず、朝日新聞の記事でさえ批判的な書きぶりではない。

原発事故でなかったら10億2千万円が認められなかったことは明らか。本来であれば、結果についても厳しく問われるはずだ。今まで「復興に関するもの、特に原発事故関連であれば、何でもありで批判はタブー」がまかり通ってきたが、これをやめないと福島の真の復興は叶わない。

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