日本エネルギー会議

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ある晴れた日に(1)

九州での太陽光発電の出力抑制が話題になっているが、四国でも今年5月に需要の100パーセントを超える再生可能エネルギー(主に太陽光発電)による発電量があった。その際の四国電力エリアの一日の需給状況の推移を示したのが下図である。

この図が何を語っているかを考えてみよう。
・需要のピークは早朝と夜6~9時のフタコブラクダになっており、最大で250万キロワット程度である。
・太陽光発電が多く発電している時間帯の需要は低い。太陽光発電はちょうどその時間の全需要と同じ。同時刻、火力発電も約200万キロワット発電しており、余った分は二分され連系線で他社に送るとともに揚水式水力発電で揚水
 することに使われている。四国電力は昼を中心に連系線で他電力に相当量の電力を売っている。これによって火力発電所の負荷追従を回避するとともに売上高の確保が出来ている。
・四国の再生可能エネルギーは太陽光ばかりで風力とバイオはほぼ0に等しく太陽光発電に偏っている。
・昼間の太陽光の電気を吸収するために揚水をしており、揚水で貯めた電気は夜のピーク対策に使っている。四国電力のホームページによれば、本川揚水式水力発電所61.5万キロワットは「需要ピーク時電力需要増加に対応するた
 め、夜間や休日に生じる原子力・火力発電所の余剰電力で上池に水をくみ上げておき、ピーク時に約560メートルの落差を利用して発電する」とされている。建設時期を考えると明らかに伊方原発の大出力を需要の少ない夜間に吸
 収するためのものだ。(当時の会長の強い指示だったという話がある)しかし、伊方原発が停止している今現在は太陽光発電の余剰を吸収するのに使われているのだ。
・火力は需要曲線とは関係なく昼夜を通してほぼ一定運転している。これは余剰を連系線で他社に売ることが出来るのでそうしていると思われる。
・水力発電は需要曲線に穏やかに反応して安定的に発電している。
・四国電力の場合、太陽光発電がなければ各電源はほぼ一定で運転していれば需給バランスはとれているはずである。太陽光が入ってきた場合、火力の運転を抑制せず余剰を他社販売と揚水式水力の揚水に回している。
・早朝の需要増加に対しては、揚水式水力は発電させず火力の焚き増しで対応している。
・正午を中心として揚水式水力に水を揚げ、夕方6時から11時まで放出して発電しているが、量的に見ると約3割のロスをしていることがわかる。
 正午前後の余剰はもっと連系線や蓄電池(ロス1割)にまわすようにすれば、蓄エネルギーによる目減りを少なくすることができ、四国電力にも消費者にもメリットがある。
・将来、連系線の先にある他社エリアでも太陽光発電による供給過剰が発生した場合には、太陽光発電の出力制御か火力発電の負荷追従が必要になり、四国電力でも揚水式水力発電や蓄電池の増強が検討されると思われる。

 さて、先月末の伊方3号機の再稼働により四国電力は89万キロワットを昼夜確保することとなった。これを図に入れるとすれば、火力発電が担っていた150~200万キロワットの半分を原発で肩代わり出来ることになる。火力発電を半分にすることで、火力発電所の稼働率は下がるものの巨額の燃料代が浮いて四国電力の経営は安定感を増す。連系線によって他の地域への売電も増やすことが出来る。
原発が夜間発電した分の一部を揚水式水力に貯めておいて朝方のピーク対応にも活かすことが可能だ。九州では下図のように朝の需要のピークにも揚水式水力の放流を行っている。

ここまで図をもとに主に需要に対する太陽光発電の活かし方が実際にどのようになっているかを見てきたが、これらの図は「ある晴れた日に」の現象であることを忘れてはいけない。しかも、需要が比較的少ない日なのだ。「ある曇った日」や「ある雨の日」にはどうなのかを次回考えてみたい。 

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