日本エネルギー会議

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歴史学者の指摘

最近、年代も専門も異なる二人の歴史学者の同じような指摘を発見し、少なからずショックを受けている。一人は宮城学院女子大学学長の平川新氏で、仙台市内で行われたトークセッションで、次のように述べていたことを最近知った。
東日本大震災は平安時代前期の「貞観地震」以来の千年に一度の巨大地震と言われているが、実は、3.11クラスの地震と津波は江戸時代初期の慶長年間にも数次にわたって起こっている。近年、地層の津波堆積物や過去の文献を改めて分析・調査する中で、想像以上の規模だったことが判明しつつある。とりわけ、三陸沖を震源とした「慶長三陸地震」では、仙台の沿岸地帯だけで1800人の溺死者が出たと仙台藩の記録にある。この歴史的事実は重要だ。私たちが暮らすこの日本列島にあっては、巨大地震と大津波は「千年サイクル」などではなく、「数百年サイクル」でやって来ることを教えているからだ。

もう一人はテレビにもよく登場する若手歴史家の磯田道史氏で、最近出版された中公新書「歴史を愉しみ方」の中で、同じく東北の太平洋岸には400~500年周期で大きな津波が襲っていたが、近畿や関東と違い東北の出来事は書物として残りにくいだけであり、なかった訳ではないと書かれている。さらに400年周期とすれば、原発の運転期間が40年なので運転している間にこの程度の大津波に襲われる可能性は10分の1であり、かなり高いと言わなければならないと指摘している。地震学者でも原子力技術者でもない二人からこのような指摘をされたことをどのように受けとめればよいのだろうか。

原発のような良い方向にも悪い方向にも絶大なパワーを発揮する巨大装置産業の経営者は、極めて慎重であるべきであり、経営判断には自分達の知識や経験だけでは不十分なので海外に学び、歴史を学ぶことでより謙虚になることが必要ということではないか。日本の地形や気象は基本的には不変なものであり、先人たちが舐めてきた自然災害による辛酸を活かさねばならない。歴史を学ぶことで経営上の失敗の原因になることを見つける嗅覚を養える。過去の偉大な経営者、リーダーは独自の哲学を持つ一方、歴史から学ぶ達人でもあったはずである。

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