日本エネルギー会議

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福島の復興について考える(20)

(ピンチをチャンスに)
OECDの2016年データに基づく日本の時間当たり労働生産性は46.0ドルで、OECD加盟35ヵ国中20位と意外なほど低い。主要先進7カ国でみると、1970年以降、最下位の状況が続いている。かつて世界第二位の経済大国だったなど本当かと思えてくる。得意とする製造業では95ドルで、これでもやっと14位だ。

農業や林業の生産性の低さもよく話題に出る。狭い平野、急峻な山というハンディもあるが、林業の労働者の一人当たりの年間素材生産量はスエーデン、フィンランド、ドイツと比べると一桁低い。国土に対する森林率は67パーセントと高いのでもっと林業が栄えてもよいはずだ。ちなみに福島県は全国平均よりやや高めの71パーセントだが、植林などによる人工林の割合は全国平均41パーセントより低い35パーセントだ。ただし、民有林の森林材積は森林面積とともに全国で上位を占めている。

除染はしていないが福島第一原発の事故による放射線量は年々下がっている。木材の放射能検査も実施しており、自主管理基準(1000cpm)は下回っている。問題は人手不足だ。福島県内では震災と原発事故以降、災害復興と除染で人手が払底していたが、それが一段落し始めた今、少子高齢化に伴う人口減少や全国的な「売り手市場」などを背景に、依然として人手不足の状態が続いている。

県内の有効求人倍率は、バブル期と並ぶ高水準が続いており、特に相双地方(原発事故の影響を一番多く受けた相馬郡と双葉郡のこと)の有効求人倍率は2.57で、福島県全体の 1.46 全国の1.28の2倍を記録している。この影響をまともに受けたのが林業であり、森林組合の作業員は震災以前の6割に減少してしまった。しかし、この状況は考えようによっては機械化による生産性向上のチャンスでもある。

全国各地の山間部で今盛んに機械の導入が進められている。機械の導入には若手のエンジニアが参加することが考えられるが、これに現地のベテランの経験や知恵が活かされれば理想的だ。浜通りを中心に進められているイノベーションコースト構想の中にはロボットの研究が多いが、廃炉関連だけでなく、林業や農業への適用も進めてもらいたい。
参考図

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