日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

福島の復興について考える(21)

(三つの課題を一度に解決)
福島県内堀知事は二期目のスタートの記者会見でこれから三つの課題に取り組むと述べた。それは、①避難区域の復興 ②産業の活性化 ③人口減少対策。三つの課題は別々のもののように見えるが相互に関係があり、特に①と②は組み合わせて考えることが必要で、③はその結果と言ってもよい。まず、①の避難区域の復興であるが、何をもって復興したとするのか、目標となる指標がまだはっきりしない。浜通りの避難区域は大半が解除されたが、地域の中心である富岡町、浪江町に帰還する人がいない。わずかに戻っている人は高齢者がほとんどだ。働く人や消費する人がいないから、第三次産業(60%)は成り立たない。第二次産業(30%)は工場が避難先に移転したことと、人手が集まらないことから操業が出来ない。第一次産業(10%)は後継者がいないことと放射能による風評被害問題を引きずっている。

深刻な人口減少にストップをかけるとしているが、出生率は全国平均を上回っている。問題は若い人を中心とした県外、特に首都圏への流出だ。この点について、福島県は全国で不名誉な1位にいる。行政サービスを充実するなどすれば、ある程度高齢者は戻ってくる、あるいは流入してくるが、税収は多くを期待出来ず負担だけが増加する。労働人口を増やそうとすれば、やはり福島県に賃金が高く、安定した、やりがいのある仕事をたくさんつくることが大事だ。
田村市に進出したトヨタ系の部品メーカー「デンソー」のような有力工場などを県外から誘致出来れば、それを前提として人を集めることになる。そうすることで、人口が増えてくれば、自然に第三次産業が進出してくる。第一次産業は会社経営方式に変えておなじように企業進出と人材募集をする。といった工夫が必要だろう。

有力工場は全国各県で争奪戦が激しい。であれば、思い切った策が必要となる。江戸時代、津波で住民の多くを失った地域や飢饉で農民が大量死してしまった地域に対して、領主は10年間の年貢を免除することを条件に外から住民を集めた例がある。それに倣って、有力工場を誘致するために、10年間法人住民税を免除するとか、電気料をすべて県が負担するくらいの思い切ったことをやるべきだ。

廃炉工事を行っている東京電力や原子炉メーカーも有力企業であり、廃炉は数十年続くが、現在は廃炉工事も原発の定期検査のように、県外資本、県外技術で行われており、地元へは末端業者の雇用、作業者の生活関連の消費、燃料、材料などの購買、一般的な作業の発注にとどまっている。廃炉工事をしっかり地場産業化して地元で金を循環させる必要がある。そのために県や地元市町村は、目標値を示して地元からの雇用と購買の対象を増やすよう、東京電力などに働きかける必要がある。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter