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ロンドンでの副会長の講演

東京電力ホールディングスの広瀬直己副会長が海外で講演した事が12月4日付東京新聞で報じられている。

【ロンドン共同】
東京電力ホールディングスの広瀬直己副会長は3日、ロンドンで講演し、東電福島第1原発事故を巡り「(想定する)津波の高さの予測が明らかに低過ぎた」と認めた上で、発電所の停電対策として「非常用電源を建屋の上など高い場所に設置すべきだった」などと反省点を挙げた。

福島第1原発事故では、地震と津波の襲来で発電所内の全ての電源が作動しない状態に陥り、建屋の水素爆発など甚大な被害を招いた。広瀬氏は非常用電源の高所への設置について「非常に難しいわけではなく、(事故前に)設置することができたはずだ」と言及した。

内容的には日本国内で多くの専門家が指摘し、一般にもよく知られていることだ。「非常用電源を建屋の上など高い場所に設置すべきだった」は、厳密には「非常用電源と、電源盤・電源スイッチを水に浸からないところに」が正しい。広瀬氏が現在も東京電力ホールディングスの副会長であること、現在、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧首脳陣の裁判の最中であることを考えると、このような内容を講演で語ったことは驚きである。

東京地裁における公判では、先月、勝俣会長、武黒フェロー、武藤副社長(いずれも当時の肩書き)の証言が終わったばかり。広瀬副会長の講演内容は、東京電力の旧首脳陣の法廷での発言と食い違うものだ。武藤元副社長は裁判で、津波の高さは予測できなかったと主張している。また、非常用電源の設置について広瀬氏は「非常に難しいわけではなく」と言っている。傍証としても、原電の東海第二原発は事故前に事務本館の屋上に非常用発電機を設置した事実がある。

広瀬氏は証人として呼ばれたら同じ内容を語るであろうか。東京電力として講演内容を十分確認した結果なのか疑問が生じる。以前の東京電力では考えられないことだ。広瀬副会長は福島第一原発の事故後、新社長として社内の委員会にアメリカのNRC元トップのクライン氏を委員長にするなど安全確保に対する改革意欲が目立っていた。講演会の発言の背景に何かあるのだろうか。

職務権限が分散されていること、どこまで予防措置をしなくてはならないかについて決まりがないこと、合議による意思決定などの壁があるので、裁判での被告の有罪は難しいと考えるが、報じられた広瀬副会長の講演内容を、東京電力をはじめとする各電力会社、原子炉メーカー、規制委員会、学会など原子力の関係者が共通の理解としているかどうかを再度確認したい気がする。

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