日本エネルギー会議

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福島の復興について考える(23)

(繁栄する大内宿)
大内宿は、福島県南会津郡下郷町にある江戸時代の宿場町。1981年に重要伝統的建造物群の指定を受けた茅葺屋根の民家が街道沿いに建ち並ぶ年間80万人を超す観光客が訪れる福島県有数の観光地。驚いたことに戊辰戦争で有名な会津若松市の鶴ヶ城やいわき市の大規模水族館アクアマリンふくしまを上回る入込数なのだ。

大内宿は交通不便な南会津の山中にあり、宿場は一本の街道に沿ってわずか全長450メートルしかない。春夏秋冬賑わいを見せており、先日紅葉も終わったので空いているのではと訪れた。午後三時過ぎで気温も下がっていたが駐車場には車が多く、通りも大勢の観光客が歩いていたのには驚いた。帰る頃になっても観光バスのツアー客が駐車場に入ってくる。たぶん会津の温泉に向かう前に来たのだろう。地元の住民は観光だけで十分に潤っており外に働きに出る必要もない。高齢者も店番などいくらでも仕事がある。

何故、ここが代表的な観光地になったかを分析すると、今後の福島の復興のなかで観光地や街づくりをどのようにすればよいかのヒントがある。
(1) そぞろ歩き出来る、広すぎず狭すぎない適度な広さの空間。
(2) 離れたところに十分な駐車スペースがある。
(3) 飲食と休憩が出来ることで時間が過ごせる。
(4) 自然と調和した人工美。インスタ映えする。
(5) 本物がある。歴史的集落が現代にも存在するという他にはない驚きがある。
(6) 手作りの、素朴な食べ物や工芸を並べ、方言のまま対面販売をしている。
(7) 閉まっている店などどこにもない。閑散期を作らない四季の工夫。冬も雪景色を売り物にしている。

考えてみると全国各地に出来たモール、アウトレット、歩行者天国などにはこのような要素が含まれ、人々を挽きつけていることがわかる。
福島第一原発の事故の後、浜通りで復興の一環として作られているものは、いずれも大内宿のような要素がない。年に1~3回昔の祭りや市場を再現するイベントを帰還した住民や避難中の住民のためにやるだけだ。それでもその時だけは多くの人が集まってくる。もっと大内宿の要素を取り入れた「そぞろ歩きが出来る恒久的な空間」を作り、住民だけでなく県内外からも年間を通して行ってみたくなるようにすることを考えるべきだ。

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