日本エネルギー会議

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私が考えた目標達成方法

エネルギー基本計画に書かれた2030年各電源比率のうち、原発の20~22%は達成困難と見られており、業界団体である日本原子力産業協会のアンケートでも否定的な意見が多い。再生可能エネルギー22~24%についても太陽光発電がFITの終了で勢いを失くしているので確実とは言えない。しかし、電力需要が伸びなければ話は違う。

(エネルギー基本計画で示された電力需要予測)

計画の前提となっている経済成長率見通し(2013年~2030年)の年率1.7%はそもそも過大評価だ。すでに17年間のうち6年が経過したが結果は次のとおり。6年間の経済成長率の平均は1.26%で、今後は消費増税が控えており世界景気後退も懸念されるなか2030年までの全期間で1.7%まで盛り返すのは難しいと考えざるを得ない。今回経済成長率を見直さなかったのは意図的としか思えない。

2013年 2.00%
2014年 0.38
2015年 1.35
2016年 0.96
2017年 1.74
2018年 1.14

さらに、下図に示すようにすでにエネルギー消費とGDPは2010年頃から比例ではなくなり、エネルギー消費は下降している。

電力需要に関しても同様だ。

エネルギー基本計画では、電力需要は2013年の9666億キロワットが2030年に9808億キロワット(1.015倍)になると見込んでいるがそうはならないだろう。理由は経済成長のほかに人口減少(この間に10%、すなわち1000万人の減少)、家庭やオフィスの省エネ進捗、工場の電力自家発電自家消費の普及などである。10電力会社に対する需要はすでに足元で着実に減少している。

2013年 8485億キロワット
2014年 8230
2015年 7971
2016年 7838
2017年 7608
 
これから推定すると、2030年の電力需要はEVの増加を考慮したとしても2013年の水準を維持出来ないと思われる。電化率もそれほどは上がらないと予測する。しかし、ここでは保守的に考えて2030年の全需要が2013年の9666億キロワットと同じであると仮定し、各電源による割合の達成が可能かどうかについて考えてみる。2030年まで9666億キロワットのままで行ったとすれば、再生可能エネルギーはその22%の2127億キロワットを発電する必要がある。

2017年に再生可能エネルギー(水力を含む)は実績として1187億キロワットを発電しており、その割合は既に我が国の全発電量の15.6%に達している。環境省は「2050年再生可能エネルギー等分散型エネルギー普及可能性検証」と題する報告書を2年前に公表。高位推計では2030年に3566億キロワット発電できるとしている。これは9666億キロワットの22%をはるかに超え、全発電量の37%に達する。低位予測でも2414億キロワット発電することで、全発電量の25%になる。このとおりになるとFITにより年間3.7~4兆円の賦課金負担が生ずることは認識しておく必要がある。(2030年頃には初期の事業用高額買取契約は相当数終了に向かう見通しはあるが…)

再生可能エネルギーが増加すると、供給の安定性が失われることが心配なため、列島の連携系統や東西の周波数変換設備の拡充、需要側を含む蓄電池の導入が必要となる。電力で水素を生産、貯蔵することにも挑戦しなくてはならない。この投資も巨額なものとなろう。

原発に関しては、2030年度の全体需要9666億キロワットの20%を満足させるには年間約2000億キロワットを発電する必要がある。福島第一原発の事故以前、全国の原発54基が順調に稼働していた時期には、国内の全発電量の30~34%、すなわち年間3300億キロワット程度を発電していた。2030年に年間2000億キロワット発電するためには、全国でおよそ33基を再稼働させる必要があるが、廃炉決定が相次いでおり申請していない原発もある。また、廃炉費用の積立不足も問題となろう。現在再稼働した原発は9基であるが、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格した原発は、柏崎刈羽原発6、7号機など6基、審査申請中は12基ある。今から12年後の2030年に全国で20基の原発が稼働中と見込めば、年間1200億~1500億キロワットの発電に留まり、目標に対して500億~800億キロワット不足することになる。

不足分は上で述べたように再生可能エネルギーでまかない得ると考える。風力発電や地熱発電はまだ十分に伸びる可能性があるからだ。電力需要予測を現実的なものすることで、原発を活かしつつ、石炭火力を使わないことで化石燃料の輸入を抑制し、温暖化ガスの排出量を抑えるという見通しが立つではないか。

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