日本エネルギー会議

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安全の形式化

この写真を見て欲しい。

「小石原川ダム本体建設工事(福岡県)」で、鹿島建設が建設機械の自動化による次世代の建設生産システムによって管制塔からの指示で7台の建設機械が自動で土木作業をしているところだ。従来のリモコン方式ではなく、作業計画をインプットすることで機械が自律自動で5時間の作業を行うという画期的なもの。建設機械は一般的なものでそれにGPS、ジャイロセンサー、レーザースキャナーなどの計測機器や制御用パソコンも後付けで良く、台数も30台まで増やせるという。品質は熟練オペレータと同じ。人や障害物も認識し、危険があれば自動停止。確認後の作業再開も機械の判断で行う。今後、原発の建設工事があれば基礎掘削など土木工事は様変わりし、建設費と建設期間が大幅に削減出来そうだ。

しかし、私が注目したのは、管制塔内でパソコン画面を見ている人がヘルメットを被っていることだ。室内であり、蛍光色の作業着はともかくヘルメットを着用の必要性はまったくないのにしっかり着用している。かつて原発で来客を事務本館から中央制御室まで障害物もなく作業も行われていない専用通路を使って案内するにもヘルメット着用をお願いしたことを思い出した。

また、同時にフランスのローヌ川沿いのアレバの熱交換器などを製造している工場内部を視察させてもらった際に、天井クレーンがあり溶接作業をしているのに、我々用にヘルメットが準備されていなかった経験が蘇ってきた。作業員も一部の者が被っているだけだった。何故、ヘルメットがいらないのかと質問したら、「必要性がなく作業者も邪魔だと言っている」との返事だった。彼らが安全に関して実際的、合理的なのに対して日本では形式的だ。

日本ではヘルメット着用基準を決める際に、細かく区分することを嫌い一律にする傾向がある。必要性や能率より現場管理がしやすい方を選択する。また、ヘルメット着用が苦痛であるとの考えで、作業者が自分たちだけ負担していると思わないよう、全員が被ることによってその心理的負担を軽減しようなどと考える。これが全域全員ヘルメット着用ルールに繋がっている。こういうことに力を入れることが、本当に危険な所に重点的に対策をすることを逃したり、安全が徹底していると慢心したり、形式さえ整っていればよしとする風潮に繋がったのではないかと疑いを持っている。

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