日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

福島の復興について考える(24)

(水道事業の戦略)
今月6日に成立した改正水道法が連日メディアで取り上げられ、全国で水道料金に大きな格差があることを知った。一ヶ月当たりの世帯の支払額(家事用20㎥)の全国平均が3227円であるのに対して、最も高い北海道の夕張市は6841円。最も安い兵庫県赤穂市の853円と8倍の開きがある。私が福島第一原発の事故前まで暮らしていた福島県双葉郡富岡町では、水道利用金は下水料金とリンクしており、水道料金と同額の下水料金を徴収されていた。合わせて月に1万円程度と記憶しているので平均より若干多かった。たぶん庭に水撒きをしていたためだろう。

富岡町は原発事故のあった2011年3月には15,830人が住んでいたが、2018年12月現在、帰還した人は826人 (586世帯)に過ぎない。水道については、帰還困難区域を除く地域で完全に復旧している。木戸川ダムから小山浄水場、富岡川から関根浄水場の2系統があり、放射能はヨウ素、セシウムとも不検出だ。心配な人は依頼すれば蛇口での検査をしてくれる。幸い町内での東日本大震災の上下水道設備への被害は軽微だった。
双葉地方水道企業団が広域運営を行っており、広野町、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町の5町がカバーされている。現在、水道料金は1世帯月10トンまでは無料。(1~2名の世帯では通常7~8トン)広野町、楢葉町は帰還が進んで人口が戻っているが、富岡町他3町は合わせても1000人に満たない。そのため、水道事業、下水事業は料金収入がなく、完全に財政的に破綻しているが、現在まではすべて東京電力に補償を請求して体制を維持し事業を継続している。

もし、全域が避難解除されたとしても、人口は半分以下と予想されるので、水道料金などはいきなり倍額を請求されることになる。そうなれば、帰還する人も新たに移住してくる人もたまったものではない。今後どのように対処するかについて各町と検討中という状況で、当分東京電力の補償に依存することになるようだが、いまから原発事故の補償に依存出来ない場合を考えておく必要がある。最後に、いくつかの方向性を示しておこう。
・さらなる広域化をして管理組織のスリム化を図る。これは市町村合併にも繋がる話だ。
・遠くに離れた住宅に対しては系統から外し独立させる。(戸別の井戸や貯水槽、浄化槽の設置など)
・他の公共サービスとまとめて一括管理をする。(検針、請求、支払い、メンテナンスなど) 
・IT、AI、ドローンを駆使した最新の管理。省力化を徹底する。
・東京電力の補償に代わる恒久財源の確保。例えば、小水力発電や太陽光発電や風力発電、下水処理場でのバイオ発電などによる恒常的な売電収入。

福島県浜通りの自治体は国に対して、こうした取り組みをするための支援を求
め、全国の過疎化する地域のインフラ維持、料金高騰防止の手本となるようにすべきである。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter