日本エネルギー会議

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原産協会のアンケート結果

日本原子力産業協会が毎年実施している「原子力発電に係る産業動向調査」の2017年度調査報告書の概要が先月末に公表された。調査対象は原子力発電に係る企業365社。(電気事業者11社、鉱工業他234社、商社9社) 
概要によれば、2017年は既存原発の新規制基準対応工事や一部の原子力発電所の再稼働のために電力会社からの発注が継続しており、受注した企業はそれなりに潤っていたようだ。ただし、2018年の売上見通しは「横ばい」(43%)、「減少」(34%)と回答しており不透明感が漂っている。

原発の運転停止による影響について「売上の減少」(複数回答で56%)、「技術力の維持・継承」(同58%)の回答が多く、そのうち、「技術力の維持・継承」に係る影響を具体的にみると、「OJT機会の減少」(同91%)が特に多くなっている。さらに、「自社の技術・ノウハウを維持するために力を入れている工夫」については、「教育訓練の強化」(同77%)となっていた。

今回注目すべきは、今年策定された政府のエネルギー基本計画について質問していることだ。「2030年に電源に占める原子力発電の比率20~22%」の達成についての質問に対し、「達成できない」との回答が50%を占め、逆に「達成出来る」は10%にとどまった。その要因として「新設・リプレースが見えない」(48%)、「再稼働が遅れている」(33%)としている。原子力発電に係る産業を維持する上での課題としては、「政府による一貫した原子力政策の推進」(複数回答で71%)、「原子力発電所の早期再稼働と安定的な運転」(同60%)、「原子力に対する国民の信頼回復」(同59%)「原子力関連の人材確保・育成」(同26%)をあげている。

この結果から言えることは次のようなことだ。
1.
結果分析において、回答した365の企業のうち、建前で回答したと見られるのが電力会社11社、原子炉メーカーの3社であり、それ以外の351社はかなり本音が出ていると考えられる。
2.
エネルギー基本計画の示した比率に期待する電力会社や原子炉メーカーの見解に対して、回答企業の多くを占めると考えられる下請け、関連企業などはより現実的な見方をしている。
3.
再稼働より新設・リプレースこそ将来につながるものであり、原子力業界発展のための起爆剤は建設であると各企業が認識している。逆に考えると建設計画が具体化しなければ、技術は発展せず能力維持も難しいと言っていることになる。
4.
「技術力の維持・継承」に係る影響として、「OJT機会の減少」(同91%)が特に多いが、各企業は能力維持には実際の業務を経験させることが必須であり、教育訓練(OFFJT)はあくまで補助的なものとしていることがよくわかる。現場的に考えるとこれが真実なのであろう。
5.
原子力発電に係る産業を維持する上での課題として「政府による一貫した原子力政策の推進」が一番多かったことは、原子力は政府の政策がなくては体制維持さえ難しいことを表している。今日のように追い込まれても原子力業界は自助努力より国への依存体質が抜けきれず、むしろ強まっているように見える。

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