日本エネルギー会議

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福島の復興について考える(26)

東日本大震災と福島第一原発の事故は福島県の急激な人口減少を加速し、原発のあった浜通りでは極端な人口減と高齢化という状況を生み出した。ここからの復興については、消費者がいない、働く人がいないなどで復興しようにも足がかりがないなど、きわめて悲観的な見方があるが、ピンチはチャンスだという捉え方も出来るのではないか。それはアメリカの西部開拓史のように広大な人のまばらな土地が突然出現したこと、いままでの産業が他の地域に移動したり、廃業したりする事業者が相次いでおり、新産業を興す場合にほとんど抵抗になるものがないことなどをチャンスとする見方である。

チャンスと考えるもう一つの理由は、猛烈な人手不足という状況と世界がAI、IoT、ロボット、ドローン、再生可能エネルギー、自動運転、ブロックチェーンなど技術の大変革期が重なったことだ。賃金を上げることにより人を集めるのではなく、これらの新技術を徹底的に活用して高齢者も含め、少ない人数で飛躍的に生産性をあげることを考えるべきなのだ。

南相馬市の再開した介護施設では働く人を集めることが出来ず、収容人数を定員の半分にして運営している。これはAI、介護ロボット、自動運転の技術を試す絶好の機会である。同じように、耕作放棄や後継者不在は、大規模農業を徹底した機械化でこなしていままでになかった労働生産性の高い農業や耕作地上で太陽光発電をするソーラーシェアリングによるダブルインカム農業を始める絶好の機会である。教育、医療、防災、警備、運送なども革新的技術が活かせる領域だ。

製造業、商業、運輸業、サービス業、農林業、水産業においても安易な外国人労働力の導入や無理や人集めは、新たな問題を抱えることにつながるのでするべきではない。外国人を招く場合も、単なる労働力ではなく、新技術に関心のある人を集めることにすべきだ。

震災後にスタートした福島イノベーション・コースト構想は浜通りの15市町村で産業復興のためにロボット、エネルギー、環境・リサイクル、農林水産業、環境回復、住民の健康確保につながる医学(医療機器等)、廃炉・汚染水対策などを開発しようとするもの。既に研究開発はスタートしており、地元では発表会や説明会などが頻繁に行われている。

今年からはその成果を実際の浜通りの経済活動の場で活用することになっており、経済産業省は補助金(事業費の1/2~2/3という手厚いもの)付きの実用化促進事業を2月から募集する。実際に現場でやってみることで、さまざまなデータが集められさらなる研究開発テーマが見つかることが期待される。この事業により、福島県が人手不足のピンチをチャンスとする流れを作れるか注目したい。

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