日本エネルギー会議

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遅れて登場した電源

最近、東京電力による国内最大級の洋上風力発電所の計画が明らかになった。原発1基に相当する100万キロワットの出力で千葉県銚子沖などを候補地として考えている。将来的には洋上風力発電の規模を200~300万キロワットまで持っていく予定だ。今回は実績がある欧州の洋上風力メーカーと提携して1兆円規模の事業費を投じ、海底に土台を置く着床式で1基5000キロワット級の風車を約200基設置する。発電した電気は、再生エネルギーの普及を目的とした国の制度である固定価格買い取り制度を活用し安定的な収益を確保する。  

原発が70%の稼働率に対して風力発電所は30%台の稼働率であるから発電量は半分しかないが、燃料費はかからず定期検査などの費用も少なくてすむ。最近の原発は100万キロワット級1基が5000億円だから、同じく100万キロワットの発電設備を造るのに、洋上風力は原発の約4倍かかることになる。さらに洋上であるので地上へ、さらに消費地までの送電線を引かなくてはならない。

それでも東京電力がこの計画を進めるのは、固定価格買取制度でキロワット36円と高い価格で買取りが保証されているためだ。風力発電はこのところ着々と発電コストを低下させているので、投資回収はそれほど年数をかけずに出来そうだ。原発が特注品であるのに対して200基も同じものを建設するので量産効果や習熟効果も期待出来る。温暖化ガスフリーの100万キロワットの電源を開発するのに計画期間、準備期間、建設期間が原発と比べると風力発電所は遥かに短いため、経営の投資判断がしやすいのがもうひとつの理由だろう。

政府が昨年、長期にわたる海域の占用を実現するための統一的ルールや、関係者との調整にかかわる枠組みなどを定めた「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」を閣議決定したことも追い風となって、各地で次々と風力発電の建設計画が持ち上がっている。北海道、東北、九州、そして房総沖などが風力発電のポテンシャルが高いとされており、2030年には全国で風力発電の導入容量が1000万キロワット(年間に期待出来る発電量は300~400キロワット)に達するという予測もある。 

再生可能エネルギーでは太陽光発電が先行したが、遅れて来た風力発電もようやく成長が期待出来る状況になった。現在、温暖化対策で石炭火力発電の依存率をどのようにして下げるのかが懸案となっているが、そもそも国内で原発を10年以内に新設することが可能だと考える関係者は皆無だろう。(最近の例では20年程度かかっている)

環境影響評価に時間がかかる陸上風力発電所の場合でも計画から稼働まで数年であり、洋上風力もそれほど変わらないと思われる。石炭火力発電と再稼働が進まない原発の有力な代替電源は太陽光発電ではなく、洋上風力発電だと考えるのが妥当なようだ。

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